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歯槽膿漏の原因って?どんな症状があるの?

2018.02.13

歯槽膿漏の原因って?どんな症状があるの?


「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか?」なんてテレビCMが昔ありました。「歯槽膿漏かもしれないので歯磨きをしよう」という歯磨き粉の宣伝だったのですが、皆さんはこの「歯槽膿漏」について詳しくご存じでしょうか?

記事監修



迎和彦(むかい・かずひこ)先生


歯科医。むかい歯科 院長-健康検定協会-

http://www.mukai-shika.com/

■歯周病が進行した状態が「歯槽膿漏」

「歯槽膿漏」というのは病気の名前ではありません。現在では「歯周病」と呼ばれ、その症状が一般的に以下のように進行します。

  • 歯茎の腫れ

  • 歯茎に膿(うみ)がたまる/歯茎から出血がある/口臭がきつくなる

  • 歯茎が下がる

  • 歯がぐらつく

  • 歯が抜ける

歯周病が進行すると、歯の根っこを支える「歯槽骨(しそうこつ)」が細菌によって炎症を起こします。その結果、歯槽骨が溶けて崩れ、歯をしっかりと支えることができなくなります。また細菌が歯肉や歯周組織を侵し、炎症が拡大すると、腫れて膿が出るようになります。


このように歯槽(しそう)が侵され、膿が漏れるので「歯槽膿漏」というわけです。つまり、歯周病が進行し、中度から重度になった状態を一般的に「歯槽膿漏」というのです。しかし、現在では歯科医師は歯周病という言葉を使うことが多いですから、「歯槽膿漏です」とはあまり言われないかもしれません。

■歯槽膿漏の原因

歯槽膿漏は、主にプラーク(歯垢:しこう)が原因で起こります。食べかすなどがあるとそこに細菌が増殖するのです。放置すると細菌の増殖が進んで毒素を出し、これが炎症を引き起こします。


炎症を抑えようと免疫システムが働くと、出血や膿が見られるようになります。膿は免疫システムが細菌と戦った死骸です。また、この膿のため口臭がきつくなります。この段階になると、歯茎の腫れがぶよぶよとした状態となり、歯を支えることが難しくなってきます。


歯茎が後退するので歯が伸びたように見えますが、その一方で細菌は歯の根の部分も侵していきます。これが進行すると歯がぐらぐらと揺れるようになり、最終的には歯が抜けてしまいます。このように、歯周病は歯をすっかり駄目にしてしまう怖いものなのです。


「平成23年歯科疾患実態調査」によると、若い世代では歯周組織(歯茎や歯を支える骨、その骨と歯をくっつけている膜)に所見が見られることは稀ですが、「35-69歳」では約80%の人に所見が見られ、歯周病に罹患(りかん)していると思われます。


初期の歯周病を放置し症状が進行すると、歯槽膿漏の状態になってしまいます。ですから、初期のうちに治療を受け、決して症状を進行させないことが重要なのです。


■歯槽膿漏の治療方法

軽度の歯周病であれば治療も比較的容易ですが、骨の吸収が始まり、溶けてしまった部分があると、それを元に戻すことは困難です。細菌を減らし、増殖を止め、歯茎の健康を取り戻すことはできるのですが、歯の根元の骨を再生するのは非常に困難です。特殊な方法で骨の再生を行う処置もありますが、難易度が高く症例が限られます。また保険適応外のものが多く、治療費が高額になりがちです。


重度の場合には抜歯し、義歯(ブリッジ・入れ歯)を施すなどの処置が必要になります。また、歯の根の代わりにチタン製のインプラント体を用い、その上に人工歯をはめ込む「インプラント治療」を行うこともあります。


治療に掛かる費用も状態によって変わってきます。軽度なものであれば、レントゲン撮影で歯の状態を確認し、プラーク除去(あるいは歯石除去)といった治療で済みますから、そこまで費用は掛かりません。


しかし、中程度以上となっていて歯茎の状態が悪いと、外科治療が必要なケースが出てきます。歯周外科治療(フラップ手術)が自費診療になると価格も高く、10万円ほどの出費を覚悟しないといけないこともあります。中程度以上の歯槽膿漏の場合には、行われる治療が保険診療になるか自費診療になるかを歯科医師に確認しておくのが良いでしょう。(※義歯は保険適応と自費診療のものがあり、治療費はさまざまです。インプラントは全て自費診療で治療費も症例によって高額になる場合もあります。)こちらも歯科医師に治療内容と費用を事前によく確認する必要があります。

■歯槽膿漏の予防法

繰り返しになりますが、歯槽膿漏は歯周病がひどく進行した状態です。歯周病の予防には、歯ブラシ・デンタルフロス・歯間ブラシなどを用いて、


・歯磨きでプラークをしっかり除去すること


が何よりも大切です。定期的に歯科医の下で歯垢・歯石の除去(スケーリング、SRPと言います。)を受けるのも効果的です。このときに歯の健康状態も診てもらえますからね。また、歯周病の初期段階で速やかに歯科医に受診することも大事です。たとえば、歯茎の腫れを感じる、といったことがあったら歯科医の診察を受けるようにしてください。



上記のとおり、歯周病は約8割の人が罹患しているといわれます。永久歯はいったん抜けてしまったらそれでおしまいです。インプラントなどの代替手段は自費診療ですから高額になってしまいますし、そもそも「自分の歯」に全て取って代われるような治療方法はありません。


自分の歯を一生使い続けるためにも、歯周病を進行させないよう心掛けましょう。


(高橋モータース@dcp)