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「若いから」「女性だから」って安心できない!?痛風について専門医に聞いてみた。

2017.05.07

「若いから」「女性だから」って安心できない!?痛風について専門医に聞いてみた。


痛風というと昔は「ぜいたく病」などといわれました。しかし、食生活の西洋化、また食の質の向上に合わせて一般的になり、最近では若年層でも痛風にかかる人が増えています。


今回は、この痛風について『両国東口クリニック』の大山博司理事長にお話を伺いました。大山先生は3,000人以上もの痛風患者を診察した経験を持っていらっしゃいます。

取材協力・監修


大山博司理事長


1982年帝京大学医学部卒。帝京大学医学部大学院・第二内科を経て1988年より田島病院内科勤務。1989年より田島病院院長。2002年4月より現職。


⇒『両国東口クリニック』公式サイト

http://www.higasiguti.jp/

■若年層にまで広がる痛風

痛風というと「オッサンの病気」なんてイメージがありますが、大山先生によると「最新のデータでは約100万人の痛風患者がいて、その10倍は尿酸値(後述)の高い予備軍がいると推測されています」とのこと。


痛風予備軍まで入れると1,000万人を超えるわけですから、これはもう国民病といえるレベルではないでしょうか。また、昔は痛風患者の発症平均年齢は50代で、まさに「オッサンの病気」だったのですが、最近の発症平均年齢は「30代」。「自分はまだ痛風にかかるような年じゃない」なんて言っていられる状況ではないのです。

■痛風の症状とは?

痛風は「痛風関節炎」という激しい痛みの発作を伴います。これがいわゆる「痛風発作」です。痛風は「風が吹いても痛い」といわれる病気ですが、名前のとおりその痛みはひどいもので、足の親指の付け根が赤く腫れ上がると歩くどころではなくなります。


大山先生によれば「痛風関節炎の6割ぐらいは足の親指の付け根で発生します。ほかには足の甲、足首の周囲、かかと、手の指や手の甲が腫れることもあります」とのことです。どの場所で発生しても激しい痛みがあることは同じで、一度痛風発作が起きると日常生活に支障を来すことになります。

■女性も油断できない!痛風の原因とは!?

痛風発作は血液中の「尿酸」濃度が高くなると起こります。尿酸が血液中で結晶化(尿酸結晶と呼びます)して組織に付着。これがはがれると、それを異物として白血球が攻撃するのですが、その際に炎症物質が放出され、激痛を引き起こすのです。


健康診断で血液検査が行われると、たいていチェック項目に尿酸値があります。この尿酸値が「7.0(mg/dl)」以上になると危険で、痛風発作がいつ起きてもおかしくありません。


さて、ここで女性には朗報。女性は男性に比べて体内の尿酸が少ないのです。


大山先生によれば「女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)は尿酸の排泄を良くする働きをします。そのため女性は男性に比べてもともと尿酸値が低いのです。普通、男性では尿酸値はだいたい6.0前後、女性では5.0前後です」とのこと。


女性が男性に比べて圧倒的に痛風が少ないのは、このような理由によります。ただし、女性も油断してはいけません。


大山先生は「痛風ではないから、また痛風発作が起きないからといって尿酸値が高いままの状態を放っておいてはいけません。尿酸値が高いと心臓・腎臓・血管などに負担をかけることが分かっています。慢性的に尿酸値が高いと腎臓の病気などを引き起こす可能性がありますから、女性でも尿酸値が高めの場合には注意してください」と指摘していらっしゃいます。


さらに女性の場合にはダイエットを行うときに注意してほしい、とのことです。


大山先生によれば「極端なダイエットを行う人で尿酸値の上がる女性がいらっしゃいます。それは、たとえば下剤を多量に飲んでいたり、また利尿剤を使っていたりといった場合です。このようなケースでは尿酸値が上昇する場合があります。


また、最近流行の炭水化物制限ダイエットで尿酸値が上がってしまうこともあります。炭水化物の摂取を制限して体内の脂肪を燃やすようにすると、ケトン体という物質が発生します。実は、このケトン体は尿酸を体外に排出しにくくする働きをするのです。そのために尿酸値が上がって痛風が起こることもあります」とのことです。


健康診断で血液検査がある場合には、ぜひ一度自分の値を確認してみてください。上記のとおり、女性はもともと尿酸値の値は低いのですが、たとえば「6.0」以上となっている場合には、痛風でなくても注意しなければいけません。

■痛風の予防は普段の食生活から!

痛風の予防について大山先生に伺いました。


――痛風予防で注意する点は?


大山先生 尿酸値を低く抑えるように心掛けることです。まず普段の食生活ですね。特に注意しなければいけないのはアルコールです。アルコールは尿酸値を上げる筆頭ですから、尿酸値が高いと言われた場合には控えるのが良いでしょう。


ワインは適量であれば、尿酸値を下げる効果があることが分かっています。適量というのは1~2杯のことですよ(笑)。尿酸値が高めと言われた方は、生活に取り入れてもいいかもしれませんね。


またプリン体を多く含む食べ物は控えるのが良いですね。プリン体は尿酸を生成するので、プリン体を多量にとると体内の尿酸が多くなってしまいます。プリン体を多量に含む食べ物でいえば、

  • レバー

  • マグロ

  • カツオ

  • エビ

といったものが挙げられます。ただ、プリン体ばかり気をしていますと食べるものがなくなってしまいますから、

  • 野菜を多めに食べること

  • バランス良く食べること

がおすすめです。また、

  • 乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)を多くとること

も良いでしょう。乳製品には尿酸値を下げる効果があります(コレステロール値が高い場合にはローファットのものを選びましょう)。肥満がある場合には、

  • 炭水化物は控えめにするのが良い

  • 適度な運動を行うのが良い

ですね。


――「魚卵」はプリン体を多く含むといわれますが?


大山先生 魚卵とひとくくりにいわれますが、含まれるプリン体の量はさまざまなんですよ。たとえばイクラはそこまで多くはありません。粒が小さいカズノコやタラコのほうが多いですね。よく例に出される白子も同様です。


また、先ほど「野菜を多くとるのがおすすめ」と言いましたが、野菜の中にも「アスパラガス」「ブロッコリー」などプリン体を多く含むものがあります。ただし、野菜のプリン体はそれほど尿酸値を上げないことが分かっていますので、食べすぎなければ問題ありません。


――読者にアドバイスがあればお願いします。


大山先生 私は、痛風のことを説明するのによく「屋根に積もる雪」にたとえます。雪がだんだん積もっていき、そのままにしておくとある日一度にどっと崩れます。痛風はこれと同じようにある日突然発作を起こします。


ですから、普段の生活の中で予防することが大事な病気なのです。健康診断で尿酸値が高いと分かったら食生活に注意することを怠らないようにしてください。また、いったん痛風発作が起こったら、たとえ痛みがひいてもそれは治ったことではありません。


尿酸値を低い状態に保っていないといつまた発作が起こってもおかしくありません。長いスパンで付き合っていく病気、生活習慣病のひとつと考えてください。実際、10年以上も治療を続けている人もたくさんいます。普段の食生活に気を配ることが痛風の予防になるのです。


――ありがとうございました。



女性は痛風になりにくいのですが、年を取ってエストロゲンの分泌が少なくなったときに尿酸値が上がってしまうといったことがありますので、やはり若いときからの食習慣は大事です。また、たとえ痛風発作が起こっていなくても「尿酸値が高いと血管へのダメージは大きい」のです。「オッサンの病気」と思わず、女性も健康診断の尿酸値の結果には気を付けてください。


(高橋モータース@dcp)