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「鉄分不足」だけが理由じゃない!? 貧血の種類とその原因

2018.02.21

「鉄分不足」だけが理由じゃない!? 貧血の種類とその原因


女性は、月経による出血で鉄分が不足するため「貧血になりやすい」と言われています。鉄分不足による貧血は「鉄欠乏性貧血」と呼ばれるものですが、これ以外の原因で起こる貧血もあります。「鉄分はたくさんとっているのに貧血っぽい……」という人は、もしかしたら別の理由があるのかもしれません。今回は、「貧血の種類」について解説します。

記事監修



岡村信良 医師


医療法人小田原博信会 理事長、医学博士-健康検定協会-

あなたの貧血はどのタイプ?

貧血になると動悸(どうき)、耳鳴り、また顔色が悪くなるなどの症状が出ます。貧血の症状が出る理由は、「何らかの原因で血が薄くなること」です。血が薄くなると「酸素を運ぶ力」が低下します。


では、なぜ血が薄くなってしまうのでしょうか。貧血の種類とその原因は以下が挙げられます。

●鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は「鉄分の不足」によって起こる貧血です。鉄分が足りなくなると、酸素を運ぶ赤血球がうまく作られなくなり、貧血状態になってしまうのです。鉄欠乏性貧血は、初期は階段を上がっただけで息切れする、疲れやすいなどの症状であり進行すると舌の表面が白くなったり、爪が反り返るといった症状が起こります。


鉄分不足となる原因は、単純に食べ物から十分に鉄分が摂取できていないことや、月経などの出血で鉄分が不足してしまうことが多いようです。ほかにも、臓器異常によって鉄分が吸収できなくなって鉄欠乏性貧血になるケースもあります。また胃潰瘍や胃がん大腸がん、子宮がんなどの病気で出血が続き貧血になる場合もあります。


鉄欠乏性貧血は、不足している鉄分を補給することで改善します。鉄剤を経口摂取したり、注射で補給したりします。また、鉄分が吸収できない原因となっている疾患を改善させることで、鉄分不足が解消するケースも見られます。

●溶血性貧血

溶血性貧血は、何らかの原因で赤血球が壊れやすくなってしまうことで起こる貧血です。先天性と後天性のものがあり、先天性の場合は、遺伝子異常が主な原因です。赤血球の膜がうまく作れずに壊れやすくなってしまうのです。


後天性の場合は、主に免疫機能の異常で、赤血球を壊す抗体が体の中に作られてしまうことが原因です。「自己免疫性溶血性貧血」と呼ばれていますが、なぜこうした抗体ができるのかその理由は分かっていません。溶血性貧血では、一般的な貧血の症状に加え、壊れた赤血球の色素が沈着することで発生する黄疸(おうだん)が特徴です。心不全など重篤な症状につながる可能性もあります。


溶血性貧血の治療は、「副腎皮質ステロイドホルモン薬」が有効とされています。ほかにも、赤血球を壊す抗体を含む臓器を摘出する手術も行われます。

●悪性貧血

「ビタミンB12」が欠乏することで起こるのが悪性貧血です。一般的な貧血の症状に加え、舌の痛みなどの症状が起こります。赤血球を作るためには、鉄分以外にビタミンB12も必要不可欠な栄養素です。ビタミンB12が足りなくなると、赤血球を作る過程で細胞の分裂や増殖がうまくいかないのです。


ビタミンB12が欠乏する理由としては、単純に摂取量が不足している以外に、「ビタミンB12を吸収する内因子(胃壁細胞によって作られる糖タンパク質)の不足」が挙げられます。ビタミンB12を吸収するには胃の中にある内因子が必要です。しかし先天的に内因子がない場合や、胃の切除手術などが原因で内因子が体内にないと、ビタミンB12を摂取しても吸収されずに悪性貧血となってしまいます。


悪性貧血はビタミンB12を補給することで治療できます。ビタミンB12以外にも、葉酸が不足することで同様の症状が起こるので、治療の際にはビタミンB12の欠乏によるものなのか、葉酸の欠乏によるものなのかを調べてから処置が行われます。

●腎性貧血

赤血球を作るためには鉄やビタミンB12などの栄養素以外に、「エリスロポエチン」という腎臓から排出されるホルモンも必要です。エリスロポエチンは、赤血球の増加を促す働きを持っており、エリスロポエチンが不足すると赤血球も足りなくなり、貧血になってしまうのです。


エリスロポエチンが不足してしまう原因は、腎臓の機能低下です。機能低下自体の原因は、高血圧や肥満、また糖尿病などさまざまですが、腎機能が低下するとエリスロポエチンがうまく排出されなくなり、腎性貧血を起こしてしまいます。


腎性貧血の治療は、エリスロポエチンの注射を行うことで不足を補います。また、腎機能を低下させている原因を改善することも重要です。

●再生不良性貧血

血液中の白血球や赤血球、そして血小板の全てが減少することで起こる貧血です。血液は骨髄で作られていますが、骨髄が何らかの原因で傷害されると血液が作れなくなってしまいます。そのため、酸素をうまく運ぶことができなくなり、貧血の症状が起こります。また、白血球が減少することで感染病にかかりやすくなり、発熱や出血なども起こります。


再生不良性貧血は、先天性と後天性の二つのパターンがありますが、先天性であることはまれで、ほとんどは後天性の再生不良性貧血です。骨髄が傷害される原因は、薬剤や薬物などによる二次性のものと、原因不明のものがあり、多くは原因が不明です。


再生不良性貧血の治療は、薬を使って障害を起こしているリンパを抑える「免疫抑制療法」と正常な骨髄を移植する「骨髄移植」、「タンパク同化ステロイド」を総合的に用いて治療していきます。



貧血の種類をご紹介しました。貧血は「鉄欠乏性貧血」であることがほとんどです。しかし、なかには「溶血性貧血」や「再生不良性貧血」など、治療が難しい貧血もあります(溶血性貧血と再生不良性貧血は難病指定されています)。もし貧血が頻繁に起こるようであれば、病院で一度検査を受けてみるといいでしょう。


(中田ボンベ@dcp)