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アルコールに影響を受けるのはなぜ? 肝臓の働きって?

2018.02.21

アルコールに影響を受けるのはなぜ? 肝臓の働きって?


肝臓は、私たちの健康を維持するためにさまざまな働きをしています。たとえば、小腸で吸収された栄養素は、肝臓にいったん収まり、そこから体全体に送り込まれています。つまり、生命維持に欠かせない臓器なのです。今回は、こうした肝臓の働きについてです。

記事監修


宮崎郁子 先生


消化器内科医。東京医科大学医学部医学科卒業後、東京医科大学病院 消化器内科、東京医科大学病院 内視鏡センター助教、牧野記念病院 内科を経て、2015年より東京国際クリニック/医科 副院長を務める。

肝臓は摂取した栄養素を作り替える工場

肝臓の働きとしてまず挙げられるのが「摂取した栄養素の分解・合成」です。たとえば炭水化物はそのままではエネルギー源として使えないため、まず小腸で分解されて単糖類に変わります。その後、吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれます。肝臓で果糖やガラクトースもブドウ糖に変えられ、エネルギー源として体全体に運ばれます。


ほかにも、脂質を糖分に作り替えるなど、必要に応じて栄養素を使いやすい形に作り替える器官なのです。


栄養素を作り替えるだけでなく、「貯蔵」も肝臓の役割です。エネルギー源となるブドウ糖は、すぐに使用しない場合に肝臓でグリコーゲンという物質に変わり、そのまま肝臓に蓄えられます。エネルギー不足に陥ると、肝臓はグリコーゲンを再びブドウ糖に作り替え、血液を通して全身の組織に送ります。ブドウ糖以外にも、ビタミン類も肝臓に貯蔵される栄養素です。

ヘモグロビンに含まれる成分を使って胆汁を生成

肝臓の役割として、ほかには「胆汁の生産」があります。胆汁は脂肪の消化吸収を助ける働きを持っている液体です。血液の中にある赤血球が寿命を迎えると、赤血球の中にあるヘモグロビンが脾臓(ひぞう)で分解されてビリベルジンという物質が生成されます。ビリベルジンがさらに還元されるとビリルビンへと変わります。このビリルビンが肝臓に運ばれ、そこでグルクロン酸の抱合を受けることで、胆汁になります。


生成された胆汁は肝臓から排出され、胆のうに蓄えられます。その後、必要に応じて十二指腸に送られます。胆汁は一日に600ml分泌されるといわれています。

アルコールの分解も肝臓の仕事

肝臓は体に悪影響を及ぼすものを「分解・解毒」する役割も担っている器官です。たとえば、「体内に取り入れたアルコールを分解する」などです。


お酒を飲むと胃や小腸上部でアルコールが吸収され、吸収されたアルコールは肝臓に集まります。そこで体内酵素を使い、アルコールをアルデヒドに分解し、そこから酢酸へと分解します。酢酸がさらに分解されると、水と二酸化炭素になり、呼気や尿から排出されます。


肝臓はこのようにしてアルコールを分解していますが、肝臓の処理能力を上回るアルコールを摂るとオーバーワーク状態になります。そうなると、たとえば急性アルコール中毒が引き起こされます。また、オーバーワーク状態が長く続けば、肝臓に脂肪がたまり、「脂肪肝」になることもあります。さらに脂肪肝が進行すると、「肝硬変」に移行することがあるのです。肝硬変は「肝臓がん」につながる可能性もある病気です。



肝臓は病気があったとしても、初期段階では自覚症状が出にくいため、「物言わぬ臓器」ともいわれています。症状が出るころには病状が進んでいるというケースも少なくありません。普段から肝臓に負担をかけないように気を付けたり、定期的に検診を受けるようにしましょう。


(中田ボンベ@dcp)