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アトピー(性皮膚炎)ってどんな病気?なぜ起こるの?

2018.02.25

アトピー(性皮膚炎)ってどんな病気?なぜ起こるの?


「アトピー」と略して呼ばれることの多い「アトピー性皮膚炎」は、子供たちに有病率が高い病気です。成長するに従って徐々に治っていく人が多かったのですが、最近では大人になっても良くならない、慢性化するといったケースも増えています。今回は「アトピー」の原因について解説します。

記事監修



桑原香織 先生


皮膚科医。東京医科大学卒業。同大学病院にて研修後、東京医科大学皮膚科学教室に入局。東京医科大学病院、東京医科大学八王子医療センターで経験を積み、その後は都内皮膚科クリニックに勤務。現在は、一般財団法人中小企業衛生管理協会霞ヶ関診療所の産業医として就労者の健康管理に携わっている。

女医+(じょいぷらす)所属。


▼霞ヶ関診療所

http://www.kasumigaseki.tokyo/

「アトピー性皮膚炎」ってどんな病気?

『日本皮膚科学会ガイドライン』によれば、

アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解(かんかい)を繰り返す、瘙痒(そうよう)のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ

となっています。簡単にいうと、「悪くなったり良くなったりを繰り返す、ひどい痒(かゆ)みのある湿疹が現れる病気。アレルギー疾患にかかりやすい人がなりやすい」ということです(アトピー素因については後述)。


アトピー性皮膚炎は発症が早いのが特徴です。乳児期に発症する人が過半数を占め、早ければ生後2カ月で発症するケースもあります。90%が5歳までに発症するといわれています。

⇒データ引用元:

『日本皮膚科学会ガイドライン』「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf

「アトピー性皮膚炎」を発症しやすい人がいる

アトピー性皮膚炎をなぜ発症するのか、その原因は正確には分かっていません。しかし、


アレルギー性の疾患を引き起こしやすい体質


かどうかが重要なポイントになります。アトピー性皮膚炎を発症した人の7-8割で、本人や親族に


・アレルギー性鼻炎

・気管支喘息(ぜんそく)


といったアレルギー性の病気が見られるのです。また、アトピー性皮膚炎の診断では「IgE抗体を産生しやすいか」も基準になります。


「IgE抗体」とは、免疫機能に関係するタンパク質ですが、抗原(アレルギーの原因となる物質)と結び付くと、ヒスタミンなどの物質を放出させます。これが炎症、アレルギー反応を引き起こすのです。つまり「IgE抗体」は、アレルギー反応を起こすおおもとの物質といえます。


上記のようなアレルギー性疾患を本人・親族が持っているかどうか、さらにIgE抗体を産生しやすいかどうか、を併せて「アトピー素因」と呼ぶことがあります。アトピー素因のある人は、ほかのアレルギー疾患にもかかりやすいのです。

アトピー性皮膚炎では「バリア機能」が低下する

アトピー性皮膚炎のことを知るために、人間の皮膚の仕組みについて理解しておきましょう。


人間の皮膚は、外からの刺激を和らげ、病原体の侵入を防ぐ役割をします。また、同時に体液が外に漏れないようにする仕事もしています。つまり皮膚は体内・体外を仕切る「バリア」なのです。


皮膚の組織を細かく見ると、一番外側には皮脂膜があり、その下には、バリア機能を担当する「角層」(表皮の最も外側にある)があります。角層を構成している「角質細胞」の間には、「角質細胞間脂質」という、いわば「脂」があって、角質細胞同士をくっつけ、水分を逃がさないようにしています。


この角質細胞間脂質の代表格が、化粧品の説明などによく登場する「セラミド」です。また水分を捉えて放さないようにする「天然保湿因子」もあり、これらの働きで角層は「皮膚の潤いを保ちながら、体液が外に漏れないようにし、また、外部からの病原体の侵入を防ぐ」ことを可能にしています。


健康な人では、角層のバリアがきちんと機能しているのです。


ところが、「アレルギー性の疾患を引き起こしやすい体質」の人は、皮膚の角層に脂質成分(セラミドなど)が少ない傾向があります。このため、バリア機能が低下してしまいます。



すると、体の内側からの水分が蒸発しやすく、外からアレルギーを引き起こす「抗原」※が侵入しやすくなります。抗原が侵入すると、これに対抗するため「IgE抗体」がつくられ、これが抗原と結び付くと皮膚の炎症を引き起こすのです。


バリア機能が低下していると知覚神経が表皮の方まで伸びてきます。これが、小さな刺激でもひどい痒みを感じさせることにつながるのです。痒みがひどいために皮膚をかくと、それが角層を傷つけ、さらにバリア機能を低下させるという悪循環に陥ってしまいます。


※抗原には、ダニ、ハウスダスト、ペット、花粉などの外来抗原や食品といったさまざまな物があります。

アトピー性皮膚炎は多因子疾患

アトピー性皮膚炎は、バリア機能が弱り、侵入した抗原に過剰反応して起こる炎症ですから、多種多様な抗原が引き起こしているといえます。また抗原だけではなく、ストレスや運動など、日々の過ごし方、環境もまた影響を与えることが分かっています。


つまり、アトピー性皮膚炎はさまざまな要因が絡み合って起こる「多因子疾患」なのです。また、食物アレルギーと併発することも多いため、食物アレルギーとの関係も考えられます。


しかし、研究は進められていますが、アトピー素因がなぜ高まるのか、発症に至るメカニズムはどのようなものか、またどうすれば抑えることができるのかについて明確な答えはまだありません。


たとえば「妊婦の食生活が赤ちゃんのアトピー体質に影響する」といったことがいわれたりしますが、十分に因果関係が解明されているとはいえません。ですので「根拠・エビデンスが十分でない説を信じない」ように気を付けてください。


(高橋モータース@dcp)