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レバ刺しはなぜNG?生肉を食べることのリスク

2018.03.03

レバ刺しはなぜNG?生肉を食べることのリスク


「肉の生食は危険」といわれています。特に豚肉については「しっかり加熱して食べるよう」意識している方も多いでしょう。逆に牛肉は「あまり火を通さなくても大丈夫」ともいいますが、果たして本当に大丈夫なのでしょうか……?今回は、「生肉を食べることのリスク」について解説します。

記事監修


古川真依子 先生


消化器内科医。2003年東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学病院附属青山病院消化器内科医療錬士として関連病院等に出向。2008年に帰局後助教として勤務。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。女医+(じょいぷらす)所属。


▼東京ミッドタウンクリニック

http://www.tokyomidtown-mc.jp/

豚肉を生で食べるリスク


私たちに身近な「肉」としては「牛肉」「豚肉」「鶏肉」の三種類が挙げられます。この中では、特に豚肉については「よく加熱して食べるように」といわれています。


豚肉はカンピロバクターやサルモネラといった食中毒を引き起こす菌が付着していることがあるためで、加熱せずに食べることで食中毒になるリスクがあるのです。


また、豚肉は「豚レバー」も必ず加熱して食べるようにいわれています。その理由は食中毒以外に「E型肝炎に感染するリスクがある」からです。E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)によって引き起こされる急性の肝炎で、死に至る可能性がある危険な病気です。E型肝炎は経口伝播するので、E型肝炎ウイルスに感染した豚レバーを食べることで感染することがあります。


カンピロバクターやサルモネラ、またE型肝炎ウイルスは十分に加熱することで死滅します。厚生労働省でも2015(平成27)年6月から豚肉や内臓を生食用として販売・提供することを禁じていますが、自宅で調理する場合も、必ず十分に加熱するようにしてください。

牛肉を生で食べるリスク


豚肉と比べると牛肉は比較的「生食しても問題ない」と思われています。実際に「牛肉の刺し身」を提供している店も多くあります。ただ、牛肉も加工・流通・保存の過程でさまざまな菌が付着することがあります。その菌が食中毒を引き起こす危険性があるのです。


たとえば「牛肉のユッケ」です。2011(平成23)年に集団食中毒による死亡事件がありましたが、これは生食用として処理・衛生管理がされたものでない牛肉を、ユッケとして提供したことが原因です。提供されたユッケを食べた客が、肉に付着していた腸管出血性大腸菌によって重い食中毒を発症し、5人が亡くなられました。


「牛レバー」にも同様に「O-157」などの腸管出血性大腸菌が付着している可能性があります。そのため、平成24年7月から牛レバーを生食用として販売・提供することが禁止されています。


牛肉に付着している可能性のあるウイルスや菌も、十分に加熱することで死滅します。具体的には、中心部まで75度で1分以上加熱することです。一部の店舗では厳格な基準の下で処理された生食用の牛肉が提供されていることもありますが、そうでない場合は必ず十分に加熱して食べるようにしましょう。

鶏肉を生で食べるリスク


「鶏さし」など、加熱処理されていない料理も多い鶏肉ですが、病気の感染リスクが皆無ではありません。


厚生労働省によると、カンピロバクターによる食中毒の推定原因食品、また感染源として、「生の状態や加熱不足の鶏肉、調理中の取扱い不備による二次汚染等が強く示唆されている」とのこと。つまり、ささみを使った刺し身や、生の鶏レバーを使った料理、また「鶏肉のたたき」など、生や半生の鶏料理を食べることは、食中毒感染リスクがあるということです。


鶏の腸管内は、カンピロバクターやサルモネラなどの食中毒菌を保有している場合があります。一般的に鶏肉を加工する際は、食中毒菌が鶏肉に移らないよう、厳格な汚染防止対策に従って処理・加工されています。しかし、現在の食鳥処理の技術では食中毒菌を100%除去することは困難とされています。生食用だとしても、鶏肉を生で食べることはリスクを伴うのです。

ジビエを生で食べるリスク


ここ数年、イノシシやシカといった野生動物の肉(ジビエ)を使った料理が注目されています。こうした野生動物の肉を生で食べることも、食中毒やE型肝炎ウイルスに感染するリスクがあります。実際2003年には、シカ肉の生食を原因とするE型肝炎が確認されています。野生動物は、ほかにも寄生虫といった問題もあるため、十分に加熱して食べるべきでしょう。



生肉は確かにおいしいものですが、いっときのおいしさを選んだことでその後大きな病気になっては元も子もありません。もちろん生食しないように加熱をしたとしても、加熱が不十分で感染することもあります。「火を入れすぎたかな?」と思うくらい十分に加熱して食べるようにしたいですね。

⇒参考記事:

・厚生労働省「お肉はよく焼いて食べよう」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049964.html


・厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html

(中田ボンベ@dcp)