女性の体は男性と比べて丸みを帯びていますので、どちらかといえば「なで肩」の人が多いでしょう。ショルダーバッグやリュックが肩から落ちるたび、「なで肩が嫌だ」と思っている女性もいるはず。今回は「なで肩」について『ウェルキュア恵比寿』の田母神嘉代先生に取材しました。

取材協力・監修


田母神嘉代先生


1994年(平成6年)柔道整復師(整骨院、接骨院の国家資格)取得。2015年(平成27年)栗原修カイロプラクティックドクターと共にダイエットプログラムを開始させ、「ダイエット」と「整体」両方の施術を行っている。


⇒『ウェルキュア恵比寿』公式サイト

http://welcure.tokyo/

■「なで肩」って何?

「なで肩」はそもそも医学用語ではないようですので、その定義は説明する人によってさまざまです。「鎖骨が外側に向かって水平線より○度下がっている場合……」といった説明があったりしますが、筆者の調べたかぎりはその「○度」が一般的なのかは疑問です。ちなみに広辞苑では、

「なでおろしたようになだらかに下がった肩」(※『広辞苑第六版』P.2091より引用

と説明されています。


田母神先生によれば、なで肩には、

  • 先天的な「なで肩」

  • 後天的な「なで肩」

のふたつがあるとのことです。前者の場合には、遺伝的な形質として「なで肩」となっているわけですので、残念ながらこれを矯正することはできません。

■後天的な「なで肩」で症状がある場合は注意!

後天的ななで肩の場合には、さまざまな要因が考えられます。田母神先生によれば「大事なのは、見た目がそうであるだけなのか、それとも何らかの症状を伴っているか、という点」だそうです。たとえば、

  • 肩凝り

  • 頭痛

  • 目の奥の痛み

  • 吐き気

  • 手のしびれ

  • 肩回りや背中の鈍痛

  • ほかにも上半身の症状がある

といった場合には一度専門家に診てもらったほうが良いそうです。これらの原因としては、

  • 血流不全

  • 神経の興奮

  • 筋肉の過緊張や短縮

  • 筋肉の弱化

  • 関節の可動域・軟部組織の柔軟性の低下

  • 手の使い過ぎ(スマホやパソコン、重い荷物を持つ)

  • 内臓の問題

  • 脊柱(せきちゅう)のアライメント・全身のゆがみ

といったものが挙げられるそうです。田母神先生の専門である整体だけではなく、神経科・内科・眼科など、それぞれの専門家に受診しなければいけない場合もあるとか。

■見た目が「なで肩」である場合

先天的なものではなく、また特に症状も伴わないにもかかわらず、見た目がなで肩になってしまっている場合ですが、田母神先生は「たとえば、腰椎の前弯と胸椎の後弯が大きい人では猫背になり、両肩を前に丸め込むような形になります。この場合、一見なで肩に見えてしまいます」と指摘されています。


さらに「スマホはなくてはならないアイテムになりましたが、とても残念なことに体にとっては悪いことが多いんです。電車の中で、皆さん下を向き、片手を曲げてずっとその姿勢です。頭がそんなに下がって大丈夫かというくらい下を向いています。


目もずっと使っています。これでは猫背が身に付いてしまいますね。こういった姿勢は神経系、筋肉、関節などに緊張を強いますので、脊柱のアライメント(並び)に問題がでます」とのこと。


なで肩が後天的なものである場合には、普段からの生活で猫背になっているといったことも考えられるのです。

■「なで肩の解消」に普段から注意すべき点

田母神先生からは、次のような点に普段から注意すべきとアドバイスをいただきました。これは後天的ななで肩の解消のみならず、体の神経系、体のバランスの改善にも役立つのだそうです。


●普段の生活での注意ポイント

・パソコンモニターを高い位置に置き、目線が自分の目の高さよりなるべく下がらないようにし、頭を下げない。キーボードと手首から肘までをフラットな状態にし(デスククッションやマウスクッションを活用)、手首から先の部分が反り返らないような環境を作る。


・アゴを引いて、常に目線を意識し自分の目の高さで物を見ることが望ましい。


・普段から腰の位置に注意しましょう。低い位置にある物を取るときは、自ら体を低くして持ち、中腰にならない。


また、体のバランスが崩れていないかをチェックするには、以下の方法を試してみるのが良いとのことです。



●セルフチェック法

これは「肋骨の動き」をチェックする方法です。


肋骨は12本左右対称にあり胸郭を作り、背中の骨(胸椎についている部分は10本)と胸の骨(胸骨)をぐるりと一回りしています。肋骨10本の間、一間隔ずつの動きをチェックします。といっても、正確に行うのは難しいですからだいたいでOKです。基本姿勢は腰に両手を当てて行うようにしましょう。


※どの動きも腰痛がある人は無理に行わないでください!

1.基本の姿勢(腰に手を当てた状態)になります。

2.体を後ろに倒します。

3.体を右斜め後ろ、左斜め後ろに倒します。

4.体を左右横に倒します。

5.体を前に倒します。

6.体を右斜め前、左斜め前に倒します。

また、次のような運動もおすすめとのことです。



●体幹スッキリ運動

上記のセルフチェックで左右前後比べて動きにくいなと思った方向の体勢をとり、そのままの状態で大きく深呼吸を3回~5回繰り返します。


このときのコツは、肋骨と肋骨を広げるように、肋骨の動きを感じながら呼吸すること。少し動きが楽になったら、角度を少し変えて動きにくい方向を探し、その位置でさらに大きく深呼吸を3回~5回繰り返します。



先天的ななで肩ではなく、後天的ななで肩となっている人もいらっしゃって、その場合、肩回りの筋肉だけに注目しても解消されないことが多いのだそうです。


人間の姿勢には、神経系・筋肉・靱帯(じんたい)・血流など多くの要素が絡んでいます。自分のなで肩について気になるようでしたら一度専門家の診察を受けるのが良いでしょう。田母神先生の指摘にもありましたが、何らかの症状を伴っている場合には早く受診することをおすすめします。


(高橋モータース@dcp)