皮膚がかゆい場合、まず虫刺されや湿疹などを考えますね。しかし、デリケートゾーンがかゆい場合は、「性病かも?」と不安になってしまうこともあるのではないでしょうか。とはいえその名の通り「デリケート」な場所のため、かくのはもちろん、市販薬を塗るのもためらってしまいます。今回は、「デリケートゾーンのかゆみの原因」について解説します。
記事監修
高橋しづこ先生
産婦人科専門医。1995年、米国オレゴン州私立Reed Collegeを卒業。1997年、東海大学医学部へ入学。同大卒業後、東京大学医学部大学院より医学博士。その後は日赤医療センターや山王メディカルセンターで非常勤医師。女医+(じょいぷらす)所属。
▼詳細プロフィール
デリケートゾーンのかゆみにつながる原因
デリケートゾーンがかゆい理由としては、以下のようなことが考えられます。
●湿疹・かぶれ
デリケートゾーンに赤いポツポツができている場合は、湿疹の可能性があります。湿疹は、汗やおりものの長時間の付着、また下着の擦れなどが原因で、皮膚が炎症やかぶれを起こしています。
●虫刺され
蚊以外にも、ダニやノミに刺される(かまれる)ことでかゆみが生じます。下着に守られているデリケートゾーンであっても、可能性は少なくありません。
●肌荒れ
たとえばアンダーヘアをそった場合は、カミソリの刺激で肌荒れを起こし、かゆみが出ることがあります。また、乾燥が原因でかゆみが生じていることも考えられます。
●膣内の常在菌のバランスの乱れ
デリケートゾーンは通気性が悪いため、湿疹・かぶれが起こりやすい部位です。膣内の常在菌が乱れることによって起きるが多いです。
●カンジダ膣(ちつ)炎
常在菌のひとつであるカンジダ菌が、風邪などにより免疫力の低下などをきっかけに繁殖して起きます。濁った色の白い、カッテージチーズみたいなおりものが出るようになり、それによって外陰部がただれ、強いかゆみが起きます。
性病の場合はどんな病気が疑われる?
デリケートゾーンのかゆみを引き起こす性病は、以下のものが挙げられます。
●膣トリコモナス症
膣トリコモナス症は、トリコモナス原虫に感染することで起こる性病。強い悪臭を伴うおりものが多くなったり、強烈なかゆみが起こります。
●細菌性膣炎
細菌性膣炎は、体内に潜む何らかの常在菌が繁殖することで起こる性病。おりものの量が増え、デリケートゾーンが臭うようになります。また、痛みやかゆみが生じることも特徴です。
●クラミジア感染症
クラミジアという細菌に感染することで発症するもので、日本国内では発症例が最も多い性病です。発症するとおりものの増加のほか、デリケートゾーンの臭いがきつくなったり、強いかゆみが起こります。
こうした性病に感染している場合、デリケートゾーンに強いかゆみを生じます。かゆみ以外に、おりものが増加したり、臭いがきつくなったりしていれば、性病を疑うべきでしょう。
デリケートゾーンのかゆみを抑えるには?
湿疹などの肌トラブルによるかゆみを抑える方法としては、「かゆみを抑える軟こう」を使うのが最も手軽な方法でしょう。デリケートゾーン専用の軟こうも出ていますから、そうした治療薬を使うのもいいですね。軟こうを使う場合は患部をきれいに洗っておくと、効果的です。
かゆみの原因が性病である場合は、病気そのものの治療をしないとかゆみは改善しません。婦人科などで診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。
デリケートゾーンのかゆみを防ぐには?
デリケートゾーンの肌トラブルを防ぐには、
・同じ下着を長時間はき続けない
・ナプキンを小まめに取り替える
・通気性の良い素材の下着にする
といった対策が考えられます。特に生理時は蒸れて湿疹が出やすくなるので、デリケートゾーンを清潔に保つように意識するといいでしょう。
性病の場合、カンジダ膣炎や細菌性膣炎は免疫力の低下が原因で発症する可能性が高いもの。ですので、栄養のあるものを食べて規則正しい生活を送る、といった体力を落とさないような生活を送ることが、予防のひとつです。
クラミジア感染症や膣トリコモナス症など、ほかの人から感染することで発症する可能性の高いものについては、不特定多数の人と性的関係を持たないなど、自衛の意識を強めることが重要です。
「頻繁にかゆくなる」という人は、今回紹介した対策を参考にしてみてはいかがでしょうか?
(中田ボンベ@dcp)