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γ-GTPって何?血液検査における「肝臓系」の数値

2018.03.08

γ-GTPって何?血液検査における「肝臓系」の数値


血液検査にはさまざまな項目があって、体が健康かどうか、不調を来している内臓・組織がないかをチェックできます。お酒が好きな人は特に、「γ-GTP」などの肝臓の機能をチェックする項目の数値が気になるのではないでしょうか?今回は血液検査における「肝臓系の数値」について解説します。

記事監修


笹倉渉 先生


麻酔科標榜医、麻酔科認定医、麻酔科専門医、日本医師会認定産業医。『公立昭和病院』初期臨床研修医。『東京慈恵会医科大学附属病院』麻酔科・助教。『公益社団法人 北部地区医師会 北部地区医師会病院』麻酔科・科長を経て、現『MYメディカルクリニック』院長。


⇒『MYメディカルクリニック』公式サイト

http://mymc.jp/

肝臓は「沈黙の臓器」 普段からのチェックが重要!

肝臓は「沈黙の臓器」といわれます。大きな代謝機能を持ち、ある程度の障害を受けても機能を元に戻すことができますし、肝細胞は再生できます。そのため、たとえ肝臓全体の1/3を失っても、細胞が増殖して1-2カ月後には元の大きさに復することが可能なのです。


この強靱(きょうじん)な性質のため、肝臓に障害があっても少々のことでは自覚症状が現れにくいのです。自覚症状が現れたときには、肝臓のダメージがすでにかなり大きくなっていることが多いのです。


ですから肝臓の障害を早く見つけ、早く治療を始めることが大事になります。肝機能を測るための血液検査はそのためにあるのです。では、肝機能チェックのための血液検査の項目を見てみましょう。

肝機能を測るための「血液検査の項目」

肝機能を測るための血液検査の項目は、主に以下のようなものです。「基準値」は、「健康」と判断される数値になります。検査結果が基準値から外れている場合には、再検査、精密検査が必要になります。医師の指示を受けるようにしてください。


※基準値は各病院・検査機関などによって異なっている場合があります。



●総蛋白(タンパク)

【基準値】6.7-8.3g/dL

「総蛋白」は血液中に含まれるタンパク質の総称です。総蛋白の約67%は肝臓でのみつくられるアルブミンで、肝機能が低下するとアルブミンの量が減るため総蛋白も減少します。


●アルブミン

【基準値】3.8-5.3g/dL

血液中のタンパク質「アルブミン」は「血管内に水分を保持する」働きをします。体液の濃度を調節する作用があるので、アルブミンの量が減ると、血管中の血液が減る・血管外に水がたまるといった不都合が起こります。


アルブミンは肝臓でしかつくられないので、アルブミンの量が少なければ肝機能が低下している証拠です。慢性肝炎、肝硬変が進行するとアルブミンの減少がはっきりと現れます。


●A/G

【基準値】1.1-2.0

血液中の総蛋白は上記のアルブミンと「グロブリン」に分けられます。この「A/G」はアルブミンとグロブリンの比を見る項目です。アルブミンの量が少なくなり基準値を下回ると、肝臓に何らかの障害があることが疑われます。


●TTT

【基準値】4.0U以下

TTTは「チモール混濁試験」の略称で、血液(血清)中の「γ-グロブリン」の量を計測します。このγ-グロブリンは多くの免疫抗体を含み、この免疫抗体(特に免疫グロブリンM)は体内で炎症が起こったときに現れます。


そのためTTTで高い値が出るときには「慢性肝炎(特にA型肝炎)」「肝硬変」、また慢性の感染症、「膠原(こうげん)病」などが疑われます。



●ZTT

【基準値】2.0-12.0U

ZTTは「硫酸亜鉛混濁試験」の略称で、血液(血清)中の「γ-グロブリンG」(「IgG」と略されます)の量を測定します。肝機能が低下すると、アルブミンが減り、血液中のIgGの量が増えるのです。


ZTTの値が高いと、肝機能の低下、「慢性肝炎」「肝硬変」「肝細胞がん」といった肝疾患が疑われます。しかし、ZTTの値だけでは必ずしも肝疾患とは限りませんので、他の検査の結果とも併せて判断することが求められます。


●AST(GOT)

【基準値】30U/L以下

ASTは細胞内でつくられる「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ」という酵素。アミノ酸の代謝・エネルギー代謝に関わる重要な働きをします。


肝細胞だけでなく、赤血球、心筋、骨格筋などに存在しますが、それらの細胞に障害があると、血液中にASTが漏れ出すことがあります。そのため血液検査で、基準値を超える「31U/L」以上の数値が出ると、肝細胞などの障害を疑う証拠になるのです。


●ALT(GPT)

【基準値】30U/L以下

ALTは細胞内でつくられる「アラニンアミノトランスフェラーゼ」という酵素。主に肝細胞内にあって、アミノ酸の代謝・エネルギー代謝に関わる重要な働きをします。


肝臓に障害が起こって肝細胞が壊れるとALTが血液中に漏れ出すことがあります。そのため血液検査で、基準値を超える「31U/L」以上の数値が出ると、肝細胞に障害がある証拠になります。


●γ-GTP

【基準値】男性80U/L以下

【基準値】女性30U/L以下

γ-GTPは肝臓や腎臓でつくられる「γグルタミルトランスペプチダーゼ」という酵素。タンパク質を合成・分解する機能があり、肝臓での解毒作用に関わっています。


肝細胞や胆管細胞、胆汁内に存在していますが、それぞれの組織に障害があると、γ-GTPが血液中に漏れ出し、検査で高い値を示すことになります。γ-GTPの値が高い場合には「肝炎」「脂肪肝」、また胆道が詰まる「胆石」「胆道がん」などが疑われます。



●TG(中性脂肪)

【基準値】30-149mg/dL

血液中のTG(中性脂肪)の量を測定します。中性脂肪の多くは皮下脂肪として蓄えられますが、高脂血症や動脈硬化の指標になります。また、実は肝機能の指標にもなるのです。


肝臓で合成される中性脂肪もあるので、肝機能が低下すると血液中の中性脂肪が減るのです。逆に、血液中の中性脂肪が増加すると、肝臓がそれを蓄えるために「脂肪肝」になってしまいます。


●総コレステロール

【基準値】120-219mg/dL

血清コレステロールの約90%は肝臓で合成されます。そのため、肝機能が低下すると血液中のコレステロールの量は減少します。また、胆汁の流れが阻害されると、胆汁の中にあるコレステロールが体外に排出されなくなりますので、血液中のコレステロールの量は増加します。


●LD(LDH)

【基準値】120-240U/L

LD(LDH)は「乳酸脱水素酵素」のこと。LDは細胞の中で糖をエネルギーに変換する際に働く酵素です。血液(血清)中のLDの量を計測しますが、肝臓、心臓、腎臓、骨格筋、血球に異常があると、LDが血液中に流れ出るため、数値が高くなります。


LDの値が高かった場合には、さらにどの組織(肝臓、心臓など)で異常が生じているのかを確認するために、LDの5つのタイプ(これを「アイソザイム」といいます)を検査します。また、血液検査のほかの項目を併せてチェックし、疾患のある組織を見極めます。


●ChE(コリンエステラーゼ)

【基準値】男性234-493U/L

【基準値】女性200-452U/L

ChE(コリンエステラーゼ)は、アセチルコリンなど「コリンエステル」という物質を分解するための酵素です。コリンエステラーゼは肝臓で合成されて、血液中に流れていきます。


ですから、コリンエステラーゼの量を測ると肝機能が健常か(肝実質細胞の機能の低下がないかどうか)が分かるのです。コリンエステラーゼの量が少ないときにはアルブミンの量も少なくなります。つまり、肝臓でタンパク質がうまく合成できているかを調べるのにも役立つのです。



●総ビリルビン

【基準値】0.2-1.2mg/dL


●直接ビリルビン

【基準値】0.0-0.2mg/dL


●間接ビリルビン

【基準値】0.2-1.0mg/dL


赤血球が古くなり壊れると、黄色い色素のビリルビンという成分ができます。赤血球から出るビリルビンは肝臓に運ばれて処理され、胆汁の中に排出されます。


肝臓に運ばれる前のビリルビンを「間接ビリルビン」、肝臓で処理された後のビリルビンを「直接ビリルビン」と呼びます。この「間接ビリルビン」と「直接ビリルビン」を合わせたものが「総ビリルビン」で、血液中のそれぞれの量を計測します。


ビリルビンの値が異常な場合には、肝臓障害、胆道がふさがれる「胆汁うっ滞」「胆道閉塞(へいそく)」などが疑われます。また、ビリルビンは黄色の色素であるため、体内のビリルビンの量が多くなり過ぎると肌が黄色く見える「黄疸(おうだん)」が現れることがあります。


●ALP

【基準値】100-325UL

ALPは、肝臓・腎臓・腸粘膜・骨などでつくられる「アルカリフォスファターゼ」という酵素で、リン酸化合物を分解する働きをします。肝臓で処理されて胆汁中に放出されますが、何らかの原因で胆道がふさがれたり、肝機能が低下したりすると、胆汁中から血液へと逆流します。


肝臓の障害でもALPは上昇しますが、特に胆汁うっ滞の場合には大きな上昇が見られます。黄疸があって、その原因が肝臓なのか、胆道の閉塞にあるのかを見極めたい場合には、このALPがひとつの指標になるのです。


●LAP

【基準値】男性45-81U/L

【基準値】女性37-61U/L

LAPは「ロイシンアミノペプチターゼ」の略で、タンパク質の分解を媒介する酵素です。肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、腸管、子宮、睾丸(こうがん)、脳などの細胞に含まれています。


肝臓障害などで胆汁うっ滞が起こると、胆汁が逆流して血液中にLAPが増加します。血液中のLAPの量を計測することで、肝臓・胆道に障害が起こっていないかを調べます。



●アンモニア

【基準値】30-80μg/dL

タンパク質を代謝する過程でアンモニアが生成されますが、これは人体にとって有害な物質です。肝臓ではアンモニアを尿素に合成し、体外に排出する尿のもとをつくります。


ですので、肝機能が低下すると尿素の合成が進まず、血液中にアンモニアが漏れ出すことがあるのです。血液中のアンモニアの数値が高い場合には「劇症肝炎」「肝硬変末期」などが疑われます。


●PT(プロトロンビン)

【基準値】凝固時間9.4-12.5秒

【基準値】プロトロンビン比0.9-1.1

【基準値】プロトロンビン活性70-100%

【基準値】PT-INR:0.85-1.15

血液凝固因子(血液を固める働きをするタンパク質)の一つである「プロトロンビン」(血液凝固因子の第2因子)についての検査項目です。


このプロトロンビンはトロンボプラスチンという物質を加えると固まる性質があります。これを利用して、

・固まるまでの時間(秒)

・プロトロンビン比(検体凝固時間/対照凝固時間)

・活性値(%)

といった項目を測定します。


血液凝固因子はそのほとんどが肝臓でつくられます。そのため、肝機能が低下すると、血中の血液凝固因子が減少し、血が固まるまでの時間が長くなってしまうのです。


また、肝臓に障害があると、アルブミンの減少よりも早くプロトロンビンの減少が起こります。どのくらいプロトロンビンが減っているかで肝炎の重症度も判定できるというわけです。


●APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

【基準値】25.0-36.0秒

血液を凝固させる能力の検査のひとつです。上記のとおり、肝臓に障害があると血液を凝固させる因子が減少し、血が固まるまでの時間が余計にかかってしまうのです。



このように肝臓系の血液検査項目はたくさんあります。実はまだほかにもあるのですが、上記のようなものが一般的です。健康診断などで結果のシートが手渡されたときにはぜひ参考にしてください。また、何か異常があった項目では医師からの説明を受けることを忘れないようにしましょう。


(高橋モータース@dcp)