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日光が与える影響は大きい!「紫外線を避けすぎる」生活で起こりうる弊害

2018.03.10

日光が与える影響は大きい!「紫外線を避けすぎる」生活で起こりうる弊害


地球上のほぼ全ての生物が「太陽の光」の恵みを受けて生きています。人間も例外ではありません。カーテンを引いた自室に引きこもったりすると、日光をほとんど浴びない生活となりますが、これは健康上良くありません。今回は、太陽の光、日光が人に与える影響について解説します。

記事監修



小澤佑美 先生


皮膚科医。医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

現在同じく皮膚科専門医の妹とともに父の開業するクリニックで皮膚科・美容皮膚科を担当しています。女性ならではのキメ細やかな診療を心がけています。

日本美容皮膚科学会、女医+(じょいぷらす)所属。

日光が人に与える影響とは?

日光が人間に与える良い影響としては主に以下のようなものが挙げられます。

1.ビタミンDを生成する

2.生体リズムを調整する

3.殺菌作用がある

4.新陳代謝を促進する

「ビタミンD」は人間にとって非常に重要な栄養素です。ビタミンDは、


●カルシウムの吸収を促進する

●骨の成長を促進する

●血中のカルシウム濃度を調節する


といった役割を果たすからです。人間の皮膚には「ビタミンD3」(「ビタミンD前駆体」といわれます)という物質があって、日光の紫外線を浴びるとこれが「ビタミンD」に変化します。


ですので、日光を毎日きちんと浴びている人ではビタミンD不足になることはありません。しかし、夜型の生活が慢性化している人や、紫外線をブロックする化粧品を使っている人はビタミンD不足に陥ることがあります。


ビタミンDが不足すると、妊婦・授乳婦の場合には骨軟化症にかかる場合があります。閉経以降では骨粗しょう症のリスクが高まります。また子供がビタミンD不足になると、骨の成長が阻害され、クル病を発症することもあります。


※ビタミンDは食物から摂取することがあります。また、ビタミンDは推奨される1日の最低摂取量がある一方で、上限となる1日当たりの摂取量もあります。ビタミンDの過剰摂取は「高カルシウム血症」などの疾患を引き起こす可能性があるのです。

日光が生活のリズムを調整する!

人間は進化の過程で、太陽が昇るとともに起きて、沈むとともに休む、という生活を続けてきました。そのため、地球の自転周期に似た時間で生活するリズムが身に付いています。



「体内時計」といった言い方もありますが、人間の生活リズムのサイクルは「約25時間」。これを「概日リズム」(サーカディアンリズム)といいます(「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という脳にある神経核が体内時計のリズムを発信しています)。


時間の分からない暗闇にずっと置かれると、概日リズムは少しずつ後ろにずれていくことが分かっています。そのうちに昼夜が完全に逆転してしまい、やがてまた地球の自転に合うようになります。


概日リズムのずれを調整してくれるのが日光です。人間は日光を浴びることで、「あ、朝だ、起きなければ」と概日リズムにあるズレを日々修正し、適応しているのです。


たとえば曇天の日、朝から大雨の日など、日光が十分浴びられないときに「どうも気持ちがアガらない」なんてことがありませんか? 日光量の不足であなたの意識が十分に覚醒していないこともあり得るのです。

日光の照射量が人の気分を左右する

日光の量が人間の気分に与える影響は昔から多くの研究があります。日光の照射量の減る冬季に、気分が抑うつ状態になる「冬季うつ」という言葉もあるぐらいです。


冬になって日照時間が短くなると、

  • 睡眠時間が長くなり

  • 食欲が増え

  • 気分が低下する

といった症状が現れるのです。


日光の照射量がどのようにして人間の気分を左右するのか、まだ明確には分かっていませんが、「セロトニン」という「脳内神経伝達物質」が関係しているといわれます。


※脳内神経伝達物質とは、ある神経から別の神経へ情報を伝える役割をする物質です。


セロトニンは脳幹にあるセロトニン神経という神経細胞が分泌しています。「トリプトファン」という物質(必須アミノ酸の一つ)から酵素の働きで「セロトニン」が作られます。


朝になり、日光を浴びることによってセロトニンの分泌が盛んになります。セロトニンが情報伝達を担うセロトニン神経は、大脳の前頭前野部分とも強く結びついています。


そのためセロトニンの分泌量が減ると、前頭前野の機能が低下することが考えられます。具体的には、


  • 思考

  • 認知

  • 創造

  • 計画

  • 行動

  • 社会性


といった人間の、まさに人間らしい活動の大部分が低下してしまいます。逆にいえば、日光が当たり、セロトニンが作られ、分泌量が多くなることは、人間の精神活動を活発にすることなのです。


逆に、太陽が沈んで日光の照射量がなくなると、セロトニンを基にして「メラトニン」という物質が作られ、分泌されるようになります。メラトニンは、セロトニンを原料にしているのですが、脈拍・体温・血圧を低下させることが分かっています。これらの低下が起こると、人間は活動性が低下し、眠りにつくのです。


つまり、セロトニンが人間らしい精神活動を活発にするものだったのと真逆に、メラトニンは人間を安静に休ませるためのものなのです。また、メラトニンの産生・分泌の量や時期を調節することで、体内時計の機能、概日リズムが調整されることも分かっています。


このように日光は、人間の脳内にセロトニン・メラトニンという物質の産生・分泌という現象を起こし、それによって人間の起きる・休むという生活リズムを作っているだけでなく、それどころか気分の変化もコントロールしているのです。

日光を浴びることは重要です!


日光には新陳代謝を促す力もあります。日光の赤外線は体の深部までも温め、血行を良くする効果があり、日光の紫外線には殺菌作用があります。紫外線を浴びすぎると皮膚がんのリスクを高めるといわれますが、一方で

日光に皮膚をさらすと、血圧を下げ、心臓発作や脳卒中のリスクを減らすのに役立つ。その血圧低下のメリットは皮膚がんを発症するリスクをはるかに上回るものだ

という研究もあるのです。

※英・エジンバラ大学、皮膚科学者リチャード・ウェラー博士の「Sunshine could benefit health.Exposing skin to sunlight may help to reduce blood pressure.」


データ引用元:『The University of Edinburgh』「Sunshine could benefit health.」

https://www.ed.ac.uk/news/2013/sunshine-080513


特にアメリカでは皮膚がんを誘発するとして、日光に当たることを避ける人が増加しているようです。しかし、日光に当たることのメリットも確かにあります。人間は日光を浴びて進化し、日光を浴びる環境に適応してきたわけなのですから。


(高橋モータース@dcp)