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年齢によって変化する。女性ホルモンと病気の関係

2018.03.13

年齢によって変化する。女性ホルモンと病気の関係


女性ホルモンには、卵胞ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」と、黄体ホルモンと呼ばれる「プロゲステロン」のふたつがあります。これらは、女性の体の不調、病気にも大きく関わっています。女性ホルモンは年齢を重ねるにつれ分泌量が変化するため、「女性がかかりやすい病気」も年齢によって変わってくるのです。

記事監修


加藤智子 先生


産婦人科医。浜松医科大学医学部医学科卒業、社会医療法人財団新和会八千代病院勤務。日本産科婦人科学会(専門医)、日本医師会(認定産業医)、日本抗加齢医学会(専門医)、NPO法人女性と加齢のヘルスケア学会(更年期カウンセラー)、日本産婦人科内視鏡学会、日本女性心身医学会、検診マンモグラフィ読影認定医、日本気象予報士会東海支部(気象予報士)。女医+(じょいぷらす)所属。


▼詳細プロフィール

https://mycarat.jp/experts/111

■女性ホルモンの役割とは?

まず、女性ホルモンは女性の体を変化させる役割を果たします。8-9歳ごろから卵巣で分泌されるようになる「エストロゲン」が女性の体をつくるのを助けます。


さらにエストロゲンの分泌量が増えてくると女性は初潮を迎えます。現在では、その平均年齢は「12.3歳」です。もうひとつの女性ホルモン「プロゲステロン」は、エストロゲンとともに周期的に分泌され生理のサイクルを支えます。


思春期にはさらにエストロゲンの分泌が増え、乳房・子宮・膣の発育を促し、身長・体重を増加させ、また女性らしい丸みを帯びた体つきをつくるのです。


やがて女性ホルモンの分泌がピークを迎える「性成熟期」になります。年齢でいえば、この期間は20代-30代です。ちなみに現在では、第一子の平均出産年齢は「30.4歳」。晩婚・高年齢出産が増加していますが、それでも出産は女性ホルモンの分泌が盛んな時期に行うのが一般的です。


早い人では、女性ホルモンの分泌は30歳代後半あたりから減り始めます。40歳を過ぎると卵巣の機能が低下し、それにつれてエストロゲンの分泌も少なくなります。


そして閉経を迎えると、卵巣からのエストロゲンの分泌はほとんどなくなります。現在では、平均閉経年齢は「50.5歳」。閉経前後の10年ほどを「更年期」と呼び、ホルモンバランスが急激に変化するため体に変調を覚える女性が増えます。これが「更年期障害」です。


変調も徐々に治まりますが、更年期を過ぎて老年期になると、女性の体を保護する役割を果たしてきた女性ホルモンがほとんど分泌されなくなっているため、生活習慣病などへの対策が必要になります。



このように女性の体は、女性ホルモンの分泌によって、女性らしい体に変化し、小児期から思春期へ、さらに性成熟期へと進み、またその分泌が終わることによって更年期・老年期となります。つまり女性ホルモンこそが女性の体を支えているともいえるのです。

■女性の病気は年齢によって変化する

●平均初潮年齢:12.3歳

●平均第一子出産年齢:30.4歳

●平均閉経年齢:50.5歳

女性ホルモンの分泌・バランスは女性の体をつくり、守る役割を果たし、上記のような年を重ねるにつれて起こるライフイベントに関わっています。しかし同時に、女性の体の変調・病気にも大きな影響を与えます。そのため、年齢によって女性がかかりやすい病気も変わってくるのです。


それぞれの年齢・時期でどのような疾患にかかりやすいかを挙げてみましょう。


●思春期(10代)

初潮を経験し、性成熟期に向かって女性ホルモンの分泌量が多くなる時期

月経前症候群(PMS)・月経不順などになりやすい


●性成熟期(20-30代)

女性ホルモンの分泌量がピークになる時期

子宮内膜症子宮筋腫など婦人科系疾患になるリスクが高くなる


月経前症候群(PMS)・月経不順・月経困難症・無月経など

・性感染症

・乳がん・子宮頸がん・卵巣がん・甲状腺疾患など

・不妊症


●更年期(45-55歳ぐらい)

女性ホルモンのバランスが急激に崩れる時期/閉経を挟む前後10年

心と体に変調が現れる(更年期障害)


・乳がん・子宮頸(けい)がん・卵巣がん・甲状腺疾患など

・性感染症(閉経までは要注意)

子宮内膜症子宮筋腫など(閉経までは要注意)


●老年期(56歳ぐらい~)

女性ホルモンがほとんど分泌されない時期

更年期障害も落ち着くが、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症・動脈硬化など)のリスクが高まる


・尿道炎・膀胱(ぼうこう)炎・尿失禁など

骨粗しょう症

・不眠・うつなど


女性ホルモンは、女性の体を守る働きをしているので、女性ホルモンの分泌が少なくなるとさまざまな障害が起こるリスクが高まります。



たとえば、女性は男性に比べて「痛風」になる人が少ないのですが、これはエストロゲンに血中の尿酸値を下げる働きがあるからです。また、エストロゲンには血管の柔軟性を保つ機能があり、高血圧になりにくくする働きもあります。


女性の老年期に、痛風発作を起こす可能性のある「高尿酸血症」や「高血圧」に注意しなければならないのは、それまで女性の体を守ってきた女性ホルモンがほとんど分泌されなくなるからなのです。


また、がんの中で女性の死亡率が最も高い「大腸がん」は、女性ホルモンの分泌に大きく影響されるといわれます。ホルモンの分泌が低下する40代になると大腸がんに罹患(りかん)する女性が増えてくるのです。


ちなみに、なぜ大腸がんが女性ホルモンの影響を受けやすいのかについては、以下のような説明がされます。


●卵巣・子宮の近くにあるため女性ホルモンの影響を受けやすい

●女性ホルモンの分泌が減ると腸管の粘膜が弱くなり、これが免疫力の低下を招く。そのためがんが発生しやすくなる


年齢によって女性ホルモンの分泌・バランスが変化するため、年齢によってかかりやすい病気も変わってくるというわけなのです。


また、女性ホルモンの分泌・バランスは体だけではなく、心理状態、気持ちにも影響を及ぼします。20-30代の月経のある女性は、ホルモンバランスが崩れないように心掛けることが大事ですね。


(高橋モータース@dcp)