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漢方専門医が教える。おとなニキビ、シミ、肌かさかさ…タイプ別トラブル対処法とは

2018.03.16

漢方専門医が教える。おとなニキビ、シミ、肌かさかさ…タイプ別トラブル対処法とは


空気が乾燥する冬は肌がかさかさになり、春が近づくとかゆみや吹き出ものが現れ、気温が上がるにつれてシミが目立ってくるなど、季節ごとに皮ふの変調に悩まされる人は多いのではないでしょうか。漢方専門医で臨床内科専門医、また消化器内視鏡専門医でもある吉田裕彦医師によると、「中医学(中国漢方)では、皮ふのトラブルは体をめぐる『気(き)・血(けつ)・水(すい)』の3つの要素のいずれか、あるいはすべてが滞っているととらえます。皮ふは内臓の状態を表す鏡です」とのことです。詳しいお話を聞いてみました。

取材協力・監修



吉田裕彦氏。


臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。


医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

■カサカサする乾燥肌は「血(けつ)」を補う

肌荒れでもっとも多いのが、乾燥によるトラブルです。かさかさとした肌質になるだけでなく、かゆみや湿疹(しっしん)ができることがあります。吉田医師はこの原因についてこう説明をします。


「皮ふの乾燥は、『血(けつ)』が不足することで起こります。『血(けつ)』とは全身の内臓や組織に栄養をもたらす血液とその流れのことですが、体力がない人やストレスが溜まっている人は特に『血(けつ)』がとどこおりがちです。


皮ふ細胞にとって必要な栄養や水分が不足すると、乾燥肌になり、ちょっとした刺激にも敏感になってかゆみを感じることがあります」


特に秋から冬、春先までは乾燥が激しくなります。そこで吉田医師は、「特に気をつけてほしいのが、手足が冷える人です」と、次の指摘をします。


「『血(けつ)』が不足すると、手足が冷たくなって冷えの症状が現れます。顔だけではなく、手先やつま先、膝(ひざ)や肘(ひじ)を始め、口腔(こうくう)や鼻の粘膜も乾燥し、風邪をひきやすい状態だと察知しましょう。


このときは何よりも体を温めるようにして、血流を促します。ウオーキングなどの軽い運動をする、足湯や手湯をする、カイロを貼るなどで少し汗ばむぐらいの時間を持ちましょう。


漢方薬を試すこともひとつの方法です。西洋医薬の場合は冷えなどには関係なく、皮ふの状態のみを見て塗り薬や内服薬を処方しますが、漢方薬は、その人の体力や体質、また血色はどうか、こうした冷えがあるか、むくみやめまいはどうか、肩こりや頭痛は、といった症状を考え合わせて選びます。乾燥していて冷えがある人には、次の薬があります」

  • 温清飲(うんせいいん)

    体力は中等度で、顔の血色は悪く、皮ふが赤くなる、かゆみがあるときや、粉を吹くほどかさかさと乾燥している場合に。冷えやのぼせ、ほてり、月経トラブルや更年期障害、イライラが気になる人に。アトピー性皮膚炎にも使います。

  • 当帰飲子(とうきいんし)

    あまり体力がなく、冷え症の場合の皮ふの乾燥やかゆみに。一年を通して乾燥している人に。高齢の人の肌荒れ対策にも向きます。

■熱がこもるとシミやおとなニキビができる

年々、シミが目立つようになりますが、ときに突然増えたように見えることがあります。吉田医師は次のように解説をします。


「全身の内臓、細胞を潤す『水(すい)』が滞ると皮ふに熱がこもることがあり、皮ふのトラブルにつながります。この場合は『血(けつ)』も不足するため、肌荒れやニキビ、そして色素が沈着してシミが現れやすくなることがあるでしょう。手足の冷えが気になりながらも、ときにのぼせがある、頭が重い、肩こりがあるタイプに多い不調です。向いている漢方薬を挙げておきましょう」

  • 桂枝茯苓丸薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)

    比較的体力があり、肌荒れ、シミ、月経前のニキビ、手足の冷え、のぼせ、頭重感、肩こりなどの場合に向きます。妊娠されている方は使用を避けてください。

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

    体力がなくてやせ気味の人の月経トラブル、更年期障害など女性の不調に使われる代表的な漢方薬です。シミ、しもやけ、月経前のニキビ、手足の冷え、めまいやふらつき、むくみ、頭重感、肩こりがある場合に向きます。

■生活習慣・ホルモンバランスの乱れがおとなニキビをつくる

次に吉田医師は、皮ふのトラブルで案外多い、おとなニキビについてこう説明をします。


「ニキビの原因は分泌される皮脂にあります。新陳代謝が活発で皮脂の分泌量が多い思春期はニキビができやすくなります。これに対しておとなのニキビは原因が別で、寝不足や生活習慣の乱れ、ストレスなどで、『気(き)、血(けつ)、水(すい)』のめぐりが乱れ、皮ふに『熱』として炎症が起こるととらえます。顔の血色はどうか、便秘があるか、太っているかなどを見つめ、熱を抑えるように働く漢方薬を選びましょう」

  • 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

    体力が中等度以上で、赤ら顔、ときにのぼせがある人で、湿疹や、特に赤く炎症しているニキビに。ニキビの治療の漢方薬として代表的な存在です。

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

    体力が中等度以上で、のぼせぎみで顔色が赤い人、イライラする、鼻血、不眠、胃炎などがあり、赤みのある皮膚炎、かゆみが強い皮ふ炎、口内炎がよくできる人に。

  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

    肥満の改善に使う漢方薬で、体力があって肥満気味でおなかに脂肪が多く、便秘がちな場合のおとなニキビ、吹き出もの、湿疹に。のぼせ、肩こり、腰痛、血圧が高めの人に。男性にもよく使われます。


最後に吉田医師は、肌荒れの対処についてこうアドバイスをします。


「化粧品で過剰な手入れをすることはトラブルを悪化させることになりかねません。まずは甘いものや脂っこいものを食べすぎていないか、栄養バランスはとれているか、質が良い睡眠をたっぷりとれているか、ストレスはないかなど、生活習慣を改善することからはじめてください。


そして、市販の漢方薬を選ぶ場合は、パッケージに明記された表記をよく読んで、少しでもわからないことがあれば薬店の薬剤師に尋ねてください。ただし、漢方薬を2週間試しても改善しない、気になる不調があれば、何らかの病気が隠れていることもありますから、皮膚科か内科を受診してください」


ひと口に肌荒れといっても、多くのトラブルの種類があること、またそのトラブルごとに原因や伴う不調が複数あることを知りました。肌のトラブルが気になるときは体調を見直すチャンスでもあると考え、早めに対処したいものです。


(取材・文 堀田康子 × ユンブル)