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【第15回】彼女の「嫌い」なところ:アドバイスのしすぎは迷惑ですか?

2018.03.17

【第15回】彼女の「嫌い」なところ:アドバイスのしすぎは迷惑ですか?


努力していない後輩やダラダラしている友人を見ると、イライラしてついアドバイスをしたくなります。これって迷惑なのでしょうか?


そもそも、どうして「イライラ」してしまうのか、ちょっと考えてみてほしい。

きっと、「わたしだったらこうするのに」とか「なんでこうしないの?」「こうしたほうが良いのに!」という考えがあなたの心の底には眠っているんじゃないかと思う。きっと優しさなのだろう。相手を思えば思うほど、(たとえアドバイスを求められていなくても)何か言いたくなる気持ちはよくわかる。さらに相手が弱さを吐露していれば、余計に「なにか、現状を変えられるようにわたしにできることは!?」と思ってしまうのかもしれない。気持ちはよくわかる。


でも、よくよく思い出してほしい。あなたとその人は、“違う人間”なのだ。


あなたが思っていることとは全く違うことを考え、全く違うポイントで悩み、全く違う人生を歩いていく。その人は本当に「努力したいのにできていなくて困っている人」なのか? 「だらだらしてしまう自分に嫌気がさしている人」なのか? もしかして、あなたがそう思い込んでいるだけではないか? まずはそんな風に考えてみて欲しい。


……ただ話をしただけなのに、アドバイスをしてくる知り合いというのはわたしにもいる(最近はほとんどいなくなった、またはアドバイスされても受け流せるようになったが)。


彼らを見ていて思うのは、きっと、「自分と他人との境界線が曖昧なのだろう」ということだ。自分にとって良かったことは、他人にとっても良いはずだとどこかで思っている。逆に自分がダメだと思うことは、世間もダメというに違いない、と思っている。


人は人、自分は自分なのに、どうして境界線を踏み越えて価値観を手渡してくるのだろう……とよく不思議に思っていたものだった。


たとえば彼らはこんな風だった。

わたしに仕事の状況を聞き、「うーん。あまり変わってないかな(笑)」と答えようものなら、「そのままじゃ何も変わらないよ?」「まずは○○しなって」「まあ、別にさえりがいまのままでいいんだったらいいけど」などと言って(煽って)くるのだ。とはいえ、大抵正論なので無下にもできず、「たしかにねー」などと歯切れの悪い答えしか繰り出せない。相手は「本質を突いています」「わたしにはわかっています」という素振りで、次々に痛いところをビシバシと突いてきて、わたしの心のHPはみるみるうちに減っていく。


アドバイスというものは、どれだけやわらかく言おうとしても大抵“鋭さ”をもっているものだというのを忘れてはいけない。今のダメなところや至らない(と相手が思っている)ところ、(本当に欲しいかどうかはさておき)無いものを指摘しているのだから。

それを「たしかにそのとおりね! がんばってみる!」と言えるのは、心の元気があるときや自分が前向きになっているときのみ。用法容量・タイミングを間違えると、ただただ嫌な気持ちになってしまう。


……書きながら思ったが、聞いてもいないのにアドバイスしてくる人は、地元に帰るたびに「まだ結婚しないの?」という言葉を投げかけてくる親戚と似ている。「誰が結婚したいって言ったの?」と逆に聞きたくなるようなこの言葉。


でも、決して彼らには悪気はないのだ。ただ単純に「結婚したほうが幸せだ」「この人も良い年なので結婚したいはずだ」と思い、「どうしてしないの?」と聞いているだけ。「したらいいのに」「まあでも、さえりちゃんが幸せならそれでいいんだけど?」。

この悪意0パーセントの攻撃。自分の価値観が、わたしの価値観と同じだと疑わないこの感じ。非常に似ている。


でも人には人の事情があって、その人なりのペースや、ほかの人にはわからない考え方があるのだ。落ち込んでいたり失敗していたりしたとしても、それがその人にとって必要なものである可能性もある。あなたの正解を、誰かに押し付けるのはやっぱりあまり良いことではないように思う。



さて、かなり厳しい口調で話してしまったけれど、勝手にアドバイスをはじめることのなにが一番悲惨かというと、「あなたのせっかくの好意も、望まれてもいない場所で披露すると、不快になる」という事実だ。好意を好意として受け取ってもらうためにも、アドバイスは「どうしたらいいかな」と、相手から求められた時にのみ発揮してほしい。

(ついでに言っておきたいのだが、アドバイスをしたのに行動しなかった、という理由で怒り出すことだけは絶対にやめてほしい。勝手に手を差し伸べてもいいが、それを跳ね除けられても文句は言わないように。)


今回の質問に対する答えを一言で言うと、これです。

あなたの価値観が、他でも同じだと思わないように。



(ライター/さえり 写真/インディ 編集/サカイエヒタ)

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