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「炭酸を飲みすぎると歯が溶ける」って本当?

2018.03.20

「炭酸を飲みすぎると歯が溶ける」って本当?


「炭酸飲料をたくさん飲んでいると歯が溶ける」あるいは「骨がもろくなる」といわれることがあります。実際に歯や骨が溶けたり、もろくなったりすることがあるのでしょうか? 今回は「炭酸で歯が溶けるといわれる理由」について解説します。

記事監修


菊地由利佳 先生


歯科医師-健康検定協会- http://kenken-kyoukai.jp/

■炭酸飲料は歯を溶かすのか?

「コーラやサイダーなどの炭酸飲料を飲んでいると、歯が溶ける」という話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。なぜこのような説が登場したのか、はっきりしたことは分かりませんが、次のような理由だと考えられます。

①炭酸飲料は酸性である

②歯はカルシウムでできている

③カルシウムは酸で溶ける

④よって、炭酸飲料で歯が溶ける

しかし、これは本当に正しいのでしょうか。もう少し詳しく見てみましょう。



●歯はどんな物質でできているのか?

「歯はカルシウムでできている」というのは、ものすごく大ざっぱな説明です。歯はエナメル質、象牙質からできていますが、エナメル質のもとになる物質の97%は「ハイドロキシアパタイト」です。そして、象牙質も約70%は「ハイドロキシアパタイト」でできています。つまり、歯は大部分が「ハイドロキシアパタイト」でできているといえます。


そして「ハイドロキシアパタイト」は「リン酸カルシウム」の一種で、リン酸とカルシウムからできており、酸で溶かすことができる物質です。


●炭酸飲料で歯や骨は溶けるのか?

炭酸飲料を飲むと、口の中で歯と炭酸が直接接触します。このときに歯が溶けることはあるのでしょうか。『日本コカ・コーラ』の「コカ・コーラ サイト」によると

コカ・コーラに限らず一般的に清涼飲料には酸味料が含まれています。そして、歯や骨の成分であるカルシウムやマグネシウムは、酸に溶ける性質を持っています。よって、清涼飲料、果汁などの酸を含む液体に、抜けた歯や魚の骨を長い間つけておくと、含まれるカルシウムやマグネシウムが溶けます。しかし、飲みものですので人間の骨に直接ふれたり、歯に長い間くっついていることはありません。安心してお飲みください

とのこと。


つまり「歯や骨を長時間炭酸飲料の中に漬けておけば溶ける」が、「長時間ふれることはないから問題にならない」ということです。

⇒出典:『日本コカ・コーラ株式会社』「コカ・コーラ サイト<よくあるご質問>」

https://secure-j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=18005

■意外なところから骨が溶ける?

歯や骨が溶けることについて、また別の説があります。多くの炭酸飲料には糖分や食品添加物が含まれています。これらが、間接的に骨を溶かすという考えです。


●炭酸飲料に含まれる糖分が骨を溶かす

人間の体が糖分を代謝する際には乳酸を生成し、体は酸性に寄ります。すると、これを中和するためにカルシウムやミネラルを溶かします。このため、骨からはカルシウムが失われていきます。


●炭酸飲料に含まれる食品添加物がカルシウムを体外に排出する

これは炭酸飲料に限ったことではありませんが、市販されている食品には多くの食品添加物が使用されています。この中にはリン酸も含まれているのですが、リン酸は腸内でカルシウムと結び付いてリン酸カルシウムになります。腸ではリン酸カルシウムを吸収することができず、便となって体外に排出されてしまいます。


つまり、炭酸飲料に含まれる糖分によって骨から溶け出したカルシウムは、腸内でリン酸と結合して体外へ出ていく、ということが考えられます。


■口の中で何が起きているか?


別の視点からも考えてみましょう。私たちは毎日食事をするので、口の中では常に「脱灰(だっかい)・再石灰化サイクル」が行われています。「脱灰」とは、リン酸とカルシウムが歯から溶け出すことで、「再石灰化」とは、脱灰した部分にリン酸とカルシウムが戻っていくことです。


食事をすると、口の中にいる細菌は食べかすをエサにして増殖し、歯垢(プラーク)になります。細菌は歯垢の中で活動し、その際に酸を出します。この酸によって口の中のpH値が5.5以下になると脱灰が起こります。


しかし、食事で唾液がたくさん分泌されることによって口の中は洗浄されます。また唾液には一度酸に傾いてしまった唾液をもとの唾液のpHに戻そうとする緩衝作用があります。さらに唾液にはリン酸とカルシウムが含まれており、再石灰化が起こります。


さて、炭酸飲料を飲むと、その成分によって口の中は酸性になり脱灰が起こります。しかし、それが唾液によって中和されると再石灰化も起こり、溶け出したリン酸やカルシウムは歯に戻っていくのです。

■炭酸飲料は危険なのか?

『日本コカ・コーラ』が出している見解のとおり、炭酸飲料を飲んでも歯や骨をどろどろに溶かすということはないでしょう。とはいえ、飲み過ぎれば糖分や食品添加物を過剰に取り入れることになります。そうなると、歯や骨が溶けるだけの問題では済まなくなってしまいます。炭酸飲料がおいしいからといって、飲み過ぎないようにしましょう。



「炭酸飲料を飲むと歯が溶ける」という説は、全く根拠がないでたらめとはいえないかもしれません。またおいしい炭酸飲料には想像以上の大量な糖分が含まれています。炭酸飲料を飲んだら歯の再石灰化を意識して、飲んだ後はすぐうがいをしたり、キシリトールガムを噛むなど唾液をたくさん出すようにするのがいいのではないでしょうか。


(藤野晶@dcp)