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漢方専門医に聞く。アラサー女性に多い片頭痛をケアする漢方薬とは

2018.03.20

漢方専門医に聞く。アラサー女性に多い片頭痛をケアする漢方薬とは


ズキズキと脈打つような頭痛に不意に襲われる、肩や首のこりをともなう頭重感、頭全体をしめつけるような痛みがくり返すなど、頭痛に悩む女性は少なくありません。漢方専門医で臨床内科専門医、消化器内視鏡専門医でもある吉田裕彦医師に、30歳前後の女性に多い頭痛のタイプについて聞くと、「頭痛に加えて、肩や首、腰のこり、めまいや吐き気、冷えやのぼせ、月経トラブルなどを伴う場合が多くみられます。これらの幅広い症状を改善したい場合は、漢方薬という選択肢があります」とのことです。そこで、頭痛と漢方医学について詳しく聞いてみました。

取材協力・監修



吉田裕彦氏


臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。


医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

■「気・血・水(き・けつ・すい)」の滞りで痛みが生じる

まず、頭痛の種類について、吉田医師は次のように説明します。

「脳腫瘍やくも膜下出血など脳の病気によっておこる頭痛は、直ちに適切な治療を受けなければなりません。そうした病気がなく、慢性的に起こる頭痛は、西洋医学的には片頭痛、緊張性頭痛、心因性頭痛などに分けられます」


次に吉田医師は、漢方医学特有のとらえ方として「気・血・水(き・けつ・すい)」を挙げます。

「漢方医学では、気・血・水という『体を構成する要素』の考え方があります。簡潔に説明しますと、それぞれに次の働きがあるとされます」

・『気』は元気や気力の『気』で、生きるエネルギーや自律神経の働きのこと。滞ると、イライラやウツウツ、疲労感、だるさ、頭重感、便秘、不眠、のぼせ、発汗、動悸(どうき)などが現れます。

・『血(けつ)』は全身の臓器や組織に栄養を運ぶ循環、血流のこと。滞ると血流不良となり、貧血、めまい、月経トラブル、便秘、皮ふの乾燥などが現れます。

・『水(すい)』は血液以外の水分や胃液、涙など体液全般のこと。滞ると、むくみ、めまい、頭痛、下痢、排尿異常などが現れます。

この「気・血・水(き・けつ・すい)」と、頭痛を始めとする痛みや不調との関係について、

「漢方ではこれらが、『通じなければ痛み、通じれば痛まない』と言われ、不調や痛みはこのうちのどれかが、あるいは全部が滞っているから生じるものととらえます。


頭痛の場合に何が滞っているかは、頭痛に伴う症状がポイントとなります。例えば、イライラなのか月経トラブルなのか、便秘なのか、むくみなのかなど、複数があるはずです。その諸症状を見つめて判断していきます。さらに、もともとの体格や体質を考慮すると、自分に合った漢方薬が見つかるでしょう」と吉田医師。

■漢方薬は頭痛に伴う症状と、体格・体質を考慮して選ぶ

では、どのような漢方薬があるのでしょうか。吉田医師に市販もされている薬について具体的に挙げてもらいました。


呉茱萸湯(ごしゅゆとう)……「気」や「血(けつ)」の滞り

・体格や体質:中等度以下の体力、冷え、肩こりがある人に

・症状: くり返しおこる頭痛、吐き気、おう吐、みぞおちの膨満感、つかえ、しゃっくりなど 


五苓散(ごれいさん)……「水(すい)」の滞り

・体格や体質:中等度以下の体力、むくみやすい人に

・症状:頭痛、めまい、吐き気、むくみ、口の渇き、尿量の減少、急性胃腸炎、下痢、暑気あたり、二日酔いなど


釣藤散(ちょうとうさん)……「気」や「血(けつ)」の滞り

・体格や体質: 体力が比較的ある、些細なことが気になる、イライラしやすい、血圧が高め、うなじや肩がこりやすい人

・症状: 慢性的な頭痛、朝方の頭重感、めまいなど


葛根湯(かっこんとう)……「水(すい)」の滞り

・体格や体質: 体力が比較的ある、うなじや肩がこりやすい人

・症状: 風邪の引き始めの頭痛、慢性頭痛、緊張型頭痛、肩こり、かぜ、発熱、悪寒(汗が出ない)など


桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)……「血(けつ)」の滞り

・体格や体質: 体力が比較的ある、のぼせやすいのに手や足が冷える人

・症状: 月経に伴う頭痛、下腹部痛、肩のこり、めまい、ニキビ、シミ、湿疹、皮ふ炎、しもやけなど


最後に吉田医師は、漢方薬を用いる際のアドバイスを加えます。


「ここに挙げた漢方薬は一つの目安です。症状がまたがっていて自分では選べないこともあるでしょう。その場合は独断は避けて、薬局に常駐する薬剤師に相談してください。また、市販の薬を2週間ほど服用しても頭痛がおさまらない、生活や仕事に支障があるほどつらいときは、医療機関を受診しましょう。何らかの病気が隠れている場合もあります」


漢方薬は、頭痛のもとになる「滞り」を改善し、頭痛とともに伴う症状にも働きかけることが期待できるようです。自分の体格や体質も見つめ直して、いまの症状に合うタイプを選びたいものです。


(取材・文 ふくいみちこ×ユンブル)