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子供だけの病気ではない!「ADHD」ってどんなもの?

2018.03.22

子供だけの病気ではない!「ADHD」ってどんなもの?


ADHDは、一般的には「集中力がない」「じっとしていられない」といった症状で知られているのではないでしょうか。この障害は子供にみられるものと考えている人もいらっしゃるでしょうが、実は成人にも生じることがあります。今回はADHDの特徴、症状について解説します。

記事監修



三木崇弘 先生


児童精神科医。愛媛大学医学部卒業。愛媛県立中央病院、愛媛県立新居浜病院・今治病院を経て、2013年より国立成育医療研究センター こころの診療部に勤務。医師+(いしぷらす)所属。

「ADHD」ってどんな障害?

「ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)」は、「不注意」「多動性」「衝動性」の症状が見られる発達障害です。『文部科学省』ではADHDを

ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される

と定義しています。

⇒引用元:

『文部科学省』「注意欠陥/多動性障害(ADHD)の定義 <Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder>」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm

また、文部科学省の定義では、7歳以前に症状が現れるとなっていますが、『アメリカ精神医学会』が2013年に出版した「DMS-5 精神疾患の診断・統計マニュアル(以下「DMS-5」)」では12歳以前とされており、今後は世界的にもこちらがトレンドとなっていくようです。ADHDの主な症状である不注意、多動性、衝動性の具体的な症状は以下のようなものです。

「不注意」に見られる症状

  • 学校の授業や仕事などに集中できなかったり、不注意によるミスをしたりする

  • 長時間の講義や会話、読書に集中し続けるのが難しい

  • 話かけられているのに、聞いていないように見える

  • 指示に従えないことが多い

  • 課題や仕事、家事の予定を立てるのが苦手で終わらせることができない

  • 集中力が必要な課題や書類の作成などを避ける、嫌う

  • 課題などに必要なものをよくなくす

  • 外的な刺激によって、すぐに気が散ってしまう

  • 忘れっぽく、なくし物が多い

上記のような症状に当てはまる場合、「ADHD」のうちの「不注意」の症状が強く現れていると考えられます。この症状は、女性に現れることが多いとされています。

「多動性」に見られる症状

  • 手足をそわそわ動かしたり、トントンとたたいたりする

  • 教室や職場などの着席しているべき場面で、落ち着いて座っていられない

  • 落ち着きがなく、走り回ったり高い所に上ったりする

  • 静かに遊んだりするのが苦手

  • 公共の場などでも落ち着かず、じっとしていられない

  • おしゃべりが過ぎる

上記の症状が当てはまる場合は「多動性」の症状が強く現れているようです。多動性の症状は、男性に多く現れるとされています。

「衝動性」に見られる症状

  • 人が話をしている最中でも、何か思い付いたらすぐに発言してしまう

  • 列に並ぶなど、順番を待つことが苦手

  • 人の活動の邪魔をしたり、干渉したりしようとする

上記の症状が見られる場合、「衝動性」の症状が強く現れているといえます。「多動性」と同様、女性よりも男性に多く見られる症状とされています。


同じ「ADHD」と診断される人でも、実際には「不注意が強く出る人」「多動性・衝動性(「DSM-5」では「多動性および衝動性」とまとめられています)が強く出る人」「その両方が出る人」と、3タイプに分けられます。

成人の「ADHD」

「学校の授業を集中して受けることが難しく、席を立って歩き回ってしまう子供」のエピソードがよく知られているように、以前は「ADHDは子供にみられる障害」だと考えられていました。しかし、子供よりも少ないものの、成人でもADHDと診断されることはあります。以下のような症状に当てはまる場合には、ADHDかもしれません。

  • 仕事に集中できず、すぐに気が散ってしまう

  • 仕事で「ケアレスミス」が多い

  • 段取りを決めて作業をするのが苦手

  • 同時に複数の作業ができない

  • 道具や資料の整理が苦手

  • 書類を作成するときに集中できない

  • 仕事の道具や書類などをよくなくす、忘れる

  • 納期や手続きの期限を守れないことが多い

  • 会議などで不用意な発言をすることが多い

  • 人の道具を勝手に使って怒られることがよくある

  • 他人の仕事のやり方が気に入らないと、つい口出ししてしまう

大人になると症状が軽くなったり、目立たなくなったりして、自分がADHDだとは気付いていない場合もあります。しかし実際には仕事や日常生活に支障が出ているため、理由も分からずに苦しんでいる人が多いといわれています。


精神科や心療内科の医師にADHDだと診断されれば、治療を受けることもできます。ADHDの治療は、まず心理社会的治療を施し、その後必要だと判断されれば薬を処方することもあります。ADHDは根本的に治療することができませんが、症状を軽くしたり、対処法を身に付けたりすることは可能です。



ご紹介したような症状に心当たりがあり悩んでいる人は、精神科や心療内科に相談してみるのもいいかもしれませんね。


(藤野晶@dcp)