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だるい、肌がかさつく、冷える…。もしかして甲状腺機能低下症が原因かも!?

2018.03.16

だるい、肌がかさつく、冷える…。もしかして甲状腺機能低下症が原因かも!?


「しっかり寝ているのに疲れが取れない」「保湿しても肌がカサつく」「抜け毛が増えた」……。こうした症状が気になってはいても、「加齢のせいだろう」「気のせいかもしれない」と、病院に行くことを検討さえしない人は多いのではないでしょうか? しかし、もしあなたが「甲状腺機能低下症」を患っている場合、生活習慣を見直しても症状は改善されないどころか、不妊や不育などに悩まされる可能性もあります。では、病気を早期に発見してきちんと治療するにはどうすればいいの? 甲状腺専門医の二田哲博(ふたた・てつひろ)先生に伺いました。

取材協力・監修



二田哲博(ふたた・てつひろ) 先生


甲状腺専門医、糖尿病専門医・糖尿病指導医。1986年、福岡大学医学部卒業。1991年、福岡大学病院に勤務後、1998年~2001年には大分県別府市の野口病院に勤務。3年間で約4万例の甲状腺がんの細胞読影をおこなう。2001年、糖尿病と甲状腺疾患を専門とする『二田哲博クリニック』を福岡市西区姪浜駅前に開院。当時、福岡県内でアイソトープ施設を併設した医療機関は、九州大学病院と二田哲博クリニックの2施設であった。2011年、福岡市中央区天神フタタビル7階に『二田哲博クリニック 天神』を分院として開院。2002年~2016年までの15年間の甲状腺疾患の累計患者数は298,381名。2016年の年間患者数は33,781名。 

  

二田哲博クリニック[ 姪浜 ] http://meinohama.futata-cl.jp 

二田哲博クリニック[ 天神 ] http://tenjin.futata-cl.jp

◆気になる症状が長期間改善されないなら、病気を疑うのが賢明

―甲状腺機能低下症の具体的な症状を教えてください。

  • なんとなく全身がだるい 

  • 皮膚がかさつく

  • 髪が抜けやすくなった 

  • 寒さに弱くなってきた 

  • コレステロールの値が上がってきた 

  • ぼーっとする

こうした症状がみられる場合、甲状腺の機能が低下していることが原因の場合があります。これらは誰もが経験しているような小さな変化なので、甲状腺が原因だと気付くことは難しいかもしれませんが、長期にわたってこのような症状が続いていて改善されないなら、甲状腺の検査を受けることをおすすめします。


―甲状腺機能低下症は生まれつきですか? それとも後天的に発症するものですか?


遺伝が大きく影響することがわかっています。もしご家族や親戚、ご両親などに甲状腺の病気の方がいる場合、甲状腺機能低下症を患っている可能性は高くなります。しかし、遺伝ではなく後天的に発症する人も少なくありません。


―どんな人がかかりやすい病気なのですか?


患者は女性が多く、特に中高年で発症する例が多く見られます。甲状腺の病気は徐々に悪くなっていくことが多いので、現在自覚症状がなくても、ご家族や親戚に甲状腺を患っている人がいるなら、一度甲状腺の検査を受けることをおすすめします。


甲状腺の機能が低下する病気で最も有名なのが「橋本病」ですが、逆に機能が異常に活発になっている状態=亢進(こうしん)の病気で最も有名な「バセドウ病」になっている方が血縁者にいる場合も注意が必要です。亢進は低下の逆だから無関係だろうと考えてしまいがちですが、バセドウ病の人が血縁者にいる方が、甲状腺機能低下症を発症することもあります。甲状腺機能低下症でなくても、血縁者に甲状腺の病気の方がいる場合、注意が必要です。

◆「健康診断のような軽い気持ち」で検査を受けてもOK!

―早期発見するためにはどうすればいいですか?


だるさや肌のかさつきなど、最初に挙げた症状に心当たりがある場合や喉元に違和感や腫れがある場合は、甲状腺専門医のもとで検査を受けることをすすめます。「健康診断のような軽い気持ち」でも大丈夫です。もし病気が見つかればすぐに甲状腺専門医による治療を開始すればいいわけですし、異常が認められなければ「安心」が手に入ります。検査を担当するのは甲状腺専門医が一番適していますが、近くにいない場合は「内分泌」の専門医に「甲状腺の検査」をお願いしましょう。


―甲状腺機能低下症と診断された場合、どんな治療をおこないますか?


甲状腺ホルモンの分泌量が足りないために甲状腺の機能が低下しているので、薬を飲むことで、不足している分の甲状腺ホルモンの「補充」をおこないます。


―薬は一生飲み続けることになるのでしょうか?


一時的な甲状腺機能の低下の場合、一時的に薬を飲むことで治まります。しかし、永続的に機能が低下している場合は、状態に合わせてですが、飲み続けなければならないこともあります。一度服用が必要なくなっても、その後また悪化した場合、薬が必要になります。

◆放っておいたら不妊、不育の原因になることも

―不妊、不育の原因にもなる病気だそうですが、きちんと治療していたら妊娠、出産が可能ですか?


妊娠も出産も可能です。甲状腺の機能低下で不妊だった人でも、治療をおこなって無事に妊娠・出産されている方がたくさんいます。不妊・不育の原因が必ずしも甲状腺の病気というわけではありませんが、病気を患っているかどうかは検査ですぐにわかるので、不妊や不育に悩まれている方は一度甲状腺専門医に診てもらうことをすすめます。また、妊娠中は甲状腺ホルモンのコントロールが難しいので、甲状腺専門医に相談しながら体調を管理していきましょう。


―妊娠希望でない場合も、きちんと治療したほうがいいですか? 治療を受けずに放っておいたらどうなりますか?


甲状腺ホルモンは、体調をつかさどっています。甲状腺ホルモンの量が多くても少なくても、体調が悪くなってしまいます。最初に挙げた症状にはそれほど大きな問題を感じないかもしれません。ただし、治療せずにそのままにしておくと、病状が進行して認知症のような症状が現れたり、稀ですが命を奪われたりすることもあります。「たいしたことない」と思わずに、甲状腺の専門機関に行って治療をおこなうことがとても大切です。


―症状を悪化させないよう、日常生活などで気を付けるべきことはありますか?


甲状腺機能低下症の場合、ヨー素(ヨード)の摂取に気を付けることが必要です。茶色いうがい薬の、茶色のもととなっているのがヨー素です。うがい薬を使う場合は、ヨー素の入っていない、青色や緑色のものを使うようにしましょう。また、ヨー素は、昆布やわかめ、海苔などの海藻類に多く含まれているので、食べ過ぎないよう注意が必要です。

◆甲状腺機能低下症患者の80%異常が治療を受けていない

―甲状腺の病気を患っている人はどのくらいいるのでしょうか?


日本甲状腺学会の発表によると、甲状腺機能低下症を含むすべての甲状腺の病気を持っている人は、推定で500万人から700万人で、そのうち治療が必要な人は約240万人と推計されています。しかし、厚生労働省によって、実際に治療を受けている人は約45万人と報告されています(平成26年調査)。つまり、80%以上の患者が治療を受けていないことになります。


自分では気付きにくい病気ですが、甲状腺専門の医療機関で検査をすればすぐにわかります。 少しでも気になる症状があるなら、一度、甲状腺専門医に診てもらうことを強くすすめます。弊院でも、検査した結果正常だったことがわかり安心した表情で帰って行かれる方がたくさんいます。異常が発見された場合も、適切な治療を受けて大事に至らなかった方が大勢います。悩み続けるより、経験豊富な甲状腺専門医の検査を受けましょう。かけがえのないあなたの身体をどうぞ大切にしてください。


―ありがとうございました。



だるさや冷えに悩んでいる人は、ぜひ一度真剣に検査を検討してみてください。異常が見つかった場合も、服薬によって症状が改善されれば、ストレスも軽減されて毎日元気に過ごせるはず。健康な肌や肉体を維持するためにも、早め早めに行動することが大切ですよ!


(取材・文 松本玲子)