人間の健康的な生活には「快食・快眠・快便」が欠かせないといわれます。食べること、眠ること、そして「排泄(はいせつ)すること」ですね。さて、それでは「快便」とはどういう状態を指すのかご存じでしょうか?下痢や便秘など、「不健康な便」はイメージできますが「健康的な便」っていったい……?今回は「健康な尿・便」について解説します。
記事監修
古川真依子 先生
消化器内科医。2003年東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学病院附属青山病院消化器内科医療錬士として関連病院等に出向。2008年に帰局後助教として勤務。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。女医+(じょいぷらす)所属。
▼東京ミッドタウンクリニック
■排泄物は健康のバロメーター
人間が口にした食べ物・飲料は、栄養を摂取するために消化吸収され、不要物が「尿」「便」となって排出されます。毎日、きちんと尿・便を排泄できるのはその人が健康だからですね。
おしっこの回数が増える「頻尿」、尿の量が極端に減ってしまう「乏尿」、排便回数が減ったり便が硬くなったりする「便秘」、あるいは便が緩くなり軟らかい便が出てしまう「下痢」など……。排泄物や排泄の頻度が普段と変わるのであれば、それは体のどこかが変調を来していることが疑われます。
排泄の習慣はそれぞれの人にリズムがあり、また健康時の排泄物があります。排泄のリズムが乱れたり、排泄物に異常があったりすれば、自分の健康状態について自覚することができますね。排泄・排泄物は健康のバロメーターにもなるのです。
■健康時の尿・便とは?
では、健康時の尿・便とはどのようなものでしょうか? 一般的には以下のように考えられています。
●健康時の「尿」
色:淡い黄色
量:1日に約0.8-1.5リットル
排尿頻度:1日に4-6回
臭い:排尿時・排尿直後はあまり臭わないのが普通
(放置するとアンモニア臭が強くなります)
●健康時の「便」
色:茶褐色
量:1日に100-200グラム
性状:バナナ状、また半練り状
排便頻度:1日に1-2回
(1日3回-1週間に3回程度の幅は正常な頻度の範囲内とされます)
におい:腸内で発生するインドールやスカトールといった物質によるが、健康な場合、そこまで強くならない
上記のものは、一般に、あくまでも平均的とされている健康時の尿・便であることに注意してください。
たとえば排尿、排便の頻度で上記から外れていたとしても、あなたが健康であり、生活に特に支障がないのであれば、問題ありません。あなたにとってはそれが普通の排尿、排便のリズムなのです。
また、健康時の尿・便は、実は排尿・排便時にはそれほど強いにおいはないものです(もちろん何を食べたか、飲んだかに影響されます)。
たとえば、尿で強いアンモニア臭がすぐに感じられる場合には、尿を作る過程のどこかに異常があるのかもしれません。膀胱(ぼうこう)などに何か疾患がないかを調べたほうが良いでしょう。また、たとえば便のにおいがあまりにも強い場合には、肝臓の疾患、また腸内の腫瘍といった重篤な病気を疑うこともあります。
いずれにしても、毎日の尿・便から健康を推し量ることができます。自分の健康時の尿・便がどのようなものか、また自分の排泄のリズムについても知っておいたほうが良いでしょう。すぐに異常が感じられれば、医師に受診するタイミングを早くでき、早期治療につながりますからね。
(高橋モータース@dcp)