検索
お悩みスパッと解決塾 11:若い世代の指導法、人気ラーメン屋さんの女性店主に聞いてみる?

2018.03.25

お悩みスパッと解決塾 11:若い世代の指導法、人気ラーメン屋さんの女性店主に聞いてみる?


どんな人にもコンプレックスや悩みってありますよね。そしてそんなときにもらう、「こうすればいいよ」なんて正攻法なアドバイスは逆に心に響かないことも……。そこでこの連載では、毎回さまざまなお悩みをあらゆる分野の専門家や著名人に相談し、一風変わった視点からその解決法を探っていきます。



「昨年から会社で中途入社の後輩の指導・育成をまかされるようになったのですが、彼は何か指示を出すまでボーッと待っている、少しきつめに注意しただけでショックを受けて仕事が手につかなくなる……という困った性格。どう接すればうまく育ってくれるのか悩みすぎて、最近はストレスが溜まりっぱなしです!」(39歳、事務)

「人の成長には段階があるもの。まずはどんなに小さなところでも良い部分を見つけ、“10褒め1叱る”ぐらいから始めるのがいいかもしれません」(「はないち 練馬しおラーメン」店主 伊藤綾さん)


今回の相談者さんのように、若い世代の方への教育に悩む人は多いのではないでしょうか? 世代が違えば仕事に対する責任感や価値観にもズレが生まれるのは当然のこと。しかし接し方を気にするあまり、ストレスが溜まってしまうことも……。


相談者さんの後輩くんは以下のような特徴があるそうです。

  • 自主性がなく受け身

  • 手っ取り早く成果をあげたい

  • 現実的、合理的

  • 打たれ弱くストレス耐性が低い

  • 仕事よりもプライベート優先

……うーん、たしかに筆者の周りにもこのような傾向の若い世代が見られるかも。こうした後輩に仕事を教える際はどのように接するのがよいのでしょうか。


今回お話をうかがったのは、東京都練馬区にある人気ラーメン店「はないち 練馬しおラーメン」の店主・伊藤綾さん。


なぜ会社仕事の悩みをラーメン屋さんの女店主に聞くのかって!? 実はそこにはちゃーんと理由があるんです!

■マクドナルドと自身のラーメン店で培った後輩育成力

高校一年生の16歳から26歳までの10年間、大手ファストフードチェーンのマクドナルドでアルバイトしていたという伊藤さん。最初は宮城県仙台市にある店舗でいちばん年下のトレーニーとして入りますが、18歳のころには皆があこがれるというアルバイトマネージャーのタイトルをもらうまでに成長。その後、マネージャーとして東京の立川店、新宿歌舞伎町店で26歳になるまでの間、商品やお客さんの管理やたくさんのスタッフの育成などをおこなってきたのだとか。


マクドナルドで学んだことはとても多く、今も「はないち」のお店作りの大切な部分になっているといいます。


自身のお店となる「はないち 練馬しおラーメン」を開業したのは2007年9月、伊藤さんが29歳のとき。現在の練馬店のほか、今年3月には練馬区春日町に第2号店がオープン予定ですが、驚くべきことに新店舗のために採用した15人のスタッフは2か月で運営を任せられるまでに成長したそう。


これまで多くの新人を育て上げてきた後輩育成のプロともいえる伊藤さん。上手なコミュニケーション方法や彼らを成長させるコツなどについて、今回うかがってみました。

■最初の1カ月間は「指示したことをできるようにする」期間

伊藤さんはこれまでマクドナルドやご自身のお店で年の離れたスタッフを指導する経験も多かったそうですね。今回の相談者さんは若い世代の後輩への対応に悩んでいるんですが、たとえば指示待ちタイプの人にはどのように接すればよいのでしょうか?


「最終ゴールとしては『指示しなくても自分から動けるようになること』だと思うのですが、人によって性格や育った環境は違うので成長にはそれぞれで段階があります。


まず、言わなければ何もしない人には、最初の1カ月間はとにかくひたすらこちらから指示をする。辛抱して何度も言い続ければ、10人中9人は指示したことはできるようになります。まずこれが第一段階ですね。


このときにはあまり叱らないこと。割合としては10褒めて1叱るぐらいかな?(笑) 叱ると欠点ばかり見えてしまうので、どんな些細な点でもよいのでいいところを見つけて褒めることを心がけます。


褒められるとやっぱり人ってうれしいですから。もう少し頑張ろうっていう欲が出てくるんですよね」


最初から高望みせず、まずは指示したことだけはできるようにさせる。そういうふうに考えれば、仕事を教えるほうも少し肩の力を抜いて気楽に接することができるかもしれませんね。

■第二段階は「考えるクセをつけて自分から動けるようにする」

では「指示したことはできる」ようになったら、次はどうしたらよいでしょうか?


「何も言わずにやらせてみるようにします。そして自分でできたらまた「すごいじゃん!」と褒める。『何をすればいいですか?』とか『ここはどうすればいいですか?』とすぐ聞いてきたなら、『どう思う?』とこちらから質問します。自分で考えるクセをつけさせるということですね」


今回の相談者さんの後輩の特徴として、「自分で何かを考えるのが苦手で、誰かに質問したりして手っ取り早く答えを見つけたい」という部分もあるそうです。どうしたら「自分で考える力」を身につけられますか?


「目的や理由を明確にすることが大事だと思います。今、お店には現役高校生のスタッフも何人かいるんですが、入金作業やシフト作成など自分たちから中心になってやってくれています。毎回反復してやっていると、なぜそれをするのかという理由や目的がわかってくるんですよね。そうすると作業に楽しさを感じられて夢中になり、自然と自分から動くようになります」


なるほど、自分で考えさせるクセをつけること。それには「なぜこれをしなきゃいけないのか」という理由や目的をきちんと説明して、仕事への意欲を持たせることが重要だということですね。

■年下とのコミュニケーションは自分から心を開くことも大事

ちなみに、年下の人たちとコミュニケーションを築くうえで大事にしていることはありますか?


「相手に敬意を払うこと、でしょうか。私はマクドナルド時代に人から期待されたり頼りにされたりしたことが本当にうれしかったんです。だから『あなたのことを大事に考えている』というつもりで、今もスタッフへのメールなどでは必ず敬語を使いますね。マクドナルド時代に習った『ていねいに頼み、ありがとうと言う』というのは今も心がけています。


それから、心を開くために自分から悩み事を打ち明けたりもしますよ。『彼氏へのプレゼントって何が喜ばれるかなぁ?』とか『娘が部活に入るんだけど、今はどういうのが人気なの?』なんて感じで(笑)けっきょく、相手の心にどれだけ指示が届くかって、相手とどれだけ打ち解けていられるかも大きいと思うから。


さらにこれにプラスアルファで、“いつも元気に仕事する”など自分の仕事の軸となる部分を見せて示せると最高ですね」



以上、「はないち 練馬しおラーメン」店主・伊藤綾さんに若い世代の人たちの育成法についてお話をうかがいました。相談者さんへのヒントとなるのはもちろんのこと、仕事だけでなく人づきあい全般に通じる点も多いのではないでしょうか。



テキパキした話しぶりの中にも優しさやぬくもりが感じられる伊藤さん。彼女が作る塩ラーメンも絶品ですので、ぜひ近くを訪れた際はお店にも立ち寄ってみてくださいね!

★今回のアドバイザー



伊藤綾さん


1978年岩手県奥州市生まれ、宮城県仙台市育ち。2007年、ラーメン店「はないち 練馬しおラーメン」をオープン。小麦が香る特注麺を丸鶏と牡蠣の旨みが凝縮された特製スープと絡めた白湯しおらーめんが名物。お店の名前は現在12歳になる愛娘「はな」ちゃんにちなんでいる。2018年3月、練馬区春日町に第2号店をオープン予定。


http://hanaichi2007.com/


▲「はないち 練馬しおラーメン」は練馬駅から徒歩5分ほど

(取材・執筆/鷺ノ宮やよい 編集/ヒャクマンボルト)

⇒連載「お悩みスパッと解決塾」をもっと読む