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「自律神経」っていったい何?乱れを改善するにはどうしたらいい?

2018.03.29

「自律神経」っていったい何?乱れを改善するにはどうしたらいい?


病気について調べると、原因に「自律神経の乱れ」とあるものがけっこうたくさんあります。たとえば、過敏性腸症候群やメニエール病、神経性胃炎など。しかし、そもそも「自律神経」とはいったい何なのでしょうか?乱れを改善するには、どうしたらいい?今回は、「自律神経」について解説します。

記事監修



三木崇弘 先生


児童精神科医。愛媛大学医学部卒業。愛媛県立中央病院、愛媛県立新居浜病院・今治病院を経て、2013年より国立成育医療研究センター こころの診療部に勤務。医師+(いしぷらす)所属。

「自律神経」ってそもそも何?

自律神経とは、自分の意識とは関係なく働き、生命活動をコントロールする神経のことです。循環器、消化器、呼吸器などの働きをコントロールするため、眠っている間でも休まずに働き続けています。



自律神経には、主に日中、体が活動しているときに優位になる「交感神経」と、主に夜、眠っているときに優位になる「副交感神経」のふたつがあります。両者は正反対の働きをバランスよく行い、健康状態を整えます。


両者の働きは、以下のようになります。


●交感神経

交感神経は体が活動しているときに優位に働く神経です。また、緊張しているときや興奮しているとき、ストレスを感じているときにも交感神経が優位に働いています。交感神経が優位になっているときに体に及ぼす影響としては、血圧の上昇、気管支の拡張、血管の収縮が挙げられます。


●副交感神経

副交感神経は、夜眠っているときなど、体が休んでいるときに優位に働きます。胃や腸などの消化器官を働かせたり、体をリラックスさせたりします。新陳代謝や疲労回復、けがや病気の治癒を助けます。

自律神経の乱れから起きる病気

強いストレスや抑うつ状態、生活習慣の乱れ、疲労の蓄積、ホルモンバランスの乱れなど様々な原因によって、ふたつの自律神経のバランスは狂ってしまいます。たとえば、夜眠らないといけない時間なのに興奮状態になっていると、副交感神経が働くべきタイミングでも交感神経が優位なままで、眠りづらくなります。


交感神経がずっと緊張しっぱなしだと、副交感神経が働かずに体を休めることができなくなります。やがて回復が追い付かなくなり、それまでの反動で交感神経も働かなくなってしまいます。このように、自律神経の乱れから健康を害してしまうのです。自律神経の乱れが原因で起きる病気には、以下のようなものがあります。



●自律神経失調症

精神的なストレス、過労などが原因で自律神経が乱れ、心身に不調が現れる病気です。症状としては、全身の倦怠(けんたい)感、頭痛、肩凝り、手足のしびれ、動悸(どうき)、息苦しさ、めまい、立ちくらみ、不眠などがあります。同じ「自律神経失調症」と診断される場合でも、症状は人によって違ってきます。


●神経性胃炎

精神的なストレスや過労などが原因で、胃炎を起こします。自律神経のバランスが崩れて胃酸が過剰に分泌され、その結果、胃が痛んだり胸焼けがしたりします。


●過敏性腸症候群

腸の蠕動(ぜんどう)運動に異常が発生し、下痢や便秘を起こします。また、腹痛を伴うこともあります。ウイルスによる感染症の下痢なら検査で判明しますが、過敏性腸症候群の場合は目に見えるような異常が見つからないのが特徴です。

●過呼吸症候群(過換気症候群)

過剰な精神的ストレスが原因で、浅く速い呼吸を繰り返し、過呼吸を発症します。症状が続くと血液中の二酸化炭素が過度に減少し、めまいや手足のしびれを起こします。


●メニエール病

内耳のリンパ液に異常が発生する病気です。めまい、片方の耳に起きる耳鳴り、難聴の症状が現れます。

●うつ病

自律神経失調症が長く続いていると、うつ病になることがあります。これは長い間ストレスに対抗しているうち、精神的なエネルギーを使い切ってしまうためだと考えられています。


●不眠症

交感神経が過剰に働き、それに伴って副交感神経が働かなくなると不眠症になります。日中に強い興奮状態になると、夜になっても収まらないことがあります。すると、副交感神経は働くことができません。


ちなみに、主に40代後半から50代前半頃の女性にみられる「更年期障害」にも、自律神経が深く関わっています。



これは閉経前後にホルモンバランスが乱れ、動悸や発汗、不正出血、イライラなど、心身に不調が現れる疾患です。女性ホルモンが減少すると自律神経にも異常が生じるため、このような不定愁訴が現れます。

「自律神経」を整えるには?

自律神経失調症の原因は、過剰なストレスにあると考えられます。ストレスにもいろいろありますが、「仕事が辛い」「生活が苦しい」「失恋した」などのマイナスの感情に結び付くものばかりではありません。「仕事が面白くなってきた」「明日から連休で楽しみ」「好きな人ができた」などのプラスの感情もまた、ストレスなのです。


しかし、体に悪影響を与えるのはマイナスの感情に結び付くストレスです。このような感情は緊張状態を招き、交感神経を活性化させます。交感神経が強く働いていると体は活動的になり、エネルギーを消耗していくのです。自律神経を整えるには、以下のような方法で心身をリラックスさせましょう。



・生活リズムを整える

日々忙しく仕事などに追われていると、生活が不規則になりがちです。睡眠不足や昼夜逆転、不摂生な食生活は自律神経の乱れに拍車をかけます。忙しく疲れているときこそ、規則的な生活、バランスのとれた食生活を心がけましょう。


・深呼吸する

深呼吸は副交感神経を活発にします。普段より、ゆっくり大きく深呼吸してみましょう。お腹を膨らませながら息を吸って、ゆっくりと最後まで息を吐ききるのがポイントです。気持ちが落ち着いてくるはずです。


・ゆっくり入浴する

40度ほどのぬるめのお湯にゆっくり漬かって入浴しましょう。アロマオイルを使ってみたり、浴室の照明を落としてみたり、自分がリラックスできる入浴方法を試してみましょう。


・適度な運動をする

日常生活に、適度な運動を取り入れましょう。通勤・通学時に1駅分歩くなどでも構いません。いきなり激しい運動をしないように気を付けてください。


・ストレスをため込まない

現代人は常に何かしらのストレスにさらされています。ただストレスを我慢するのではなく、発散することを考えましょう。趣味に打ち込む、おいしいものを食べる、カラオケで大きな声を出して歌うなどの方法がお勧めです。


・休むときはしっかり休む

仕事の合間に適度に休憩を取るのはもちろん、1日の終わりや1週間の終わりにも、しっかりリラックスして心身を休ませる時間を取りましょう。


・カルシウムを積極的に取る

よく言われることですが、カルシウムが不足するといらいらしやすくなります。すると、交感神経が優位になりやすく、自律神経のバランスが崩れます。小魚、乳製品、大豆製品などでカルシウムを取るように心掛けましょう。


★症状が長く続くようならば病院へ相談も

上記のような対処をしても、症状がなかなか良くならないようならば、病院へ受診してみるのもひとつです。身体的な病気を除外することも大切ですし、自律神経が乱れているときは、身体的な病気への不安のため悪循環に陥っている場合もあるからです。また、ストレスがあまりに強い場合は、心療内科・神経科へ相談することもあります。



自律神経の乱れは、さまざまな体の不調や病気の原因になります。その大本になっているのは、現代人とは切っても切れない関係の「ストレス」です。ストレスを完全になくすことはできませんが、うまく対処する方法を見つけて上手に付き合っていきましょう。


(藤野晶@dcp)