寝起きは顔がむくんだり、立ち仕事のあとは足がむくんだり……。よく「むくみ」という言葉を耳にしますが、そもそもこれはどういう状態なのでしょうか?いつものことだから、と特に気にしていない方もいらっしゃるかもしれませんが、「むくみ」には重篤な病気が隠れていることもあるようです。今回は「むくみ」について解説します。
記事監修
松田明子 先生
専門は内科、腎臓内科、泌尿器科、美容皮膚科。東京女子医科大学卒業。東京女子医大病院 腎臓内科、同 泌尿器科を経て、2017年よりサイエンスクリニック院長就任。女医+(じょいぷらす)所属。
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「むくみ」のチェック方法は?
むくみは、顔、手足、主に体の末端部分にできます。顔の場合では、「全体に腫れたような感じ」になります。肥満などとの見分け方は「腫れたような部分」を指で押してみれば分かります。
指で押したへこみがなかなか元に戻らない場合は「むくみ」です。
またこのむくみが腎臓疾患からくる場合には、特に目の周りがむくみます。進行すると手足にもひどいむくみが見られるようになります。心臓疾患の場合でもむくみが現れますが、その場合、目の周囲がむくむことはありません。
「むくみ」とは医学的にどういうこと?
一般にいわれる「むくみ」は、医学用語でいえば「浮腫(ふしゅ)」になります。浮腫は、顔、手足など、主に体の末端部分が水分によって痛みを伴わないで腫れることです。
浮腫ができる原因は、細胞間質(細胞と細胞の間を満たす物質)に血管から移動した水分(また電解質)がたまることです※。たとえば、以下のような病気では浮腫・むくみが現れることがあります。
●腎臓疾患/肝臓疾患
血液の浸透圧が低下 ⇒ 間質へ水分が移動 ⇒ 浮腫
●心臓疾患(心不全など)
静脈圧(静脈の血管にかかる圧力のこと)の上昇 ⇒ 間質へ水分が移動 ⇒ 浮腫
特に腎臓疾患、肝臓疾患の場合には、血漿(けっしょう)中に含まれるタンパク質「アルブミン」の量が低下することが多くあり、そのため血管中に水分を取り込むための浸透圧が低下。逆に間質に水分が出ていくことになり、むくみ・浮腫を生じさせるという仕組みです。
「栄養失調」でも血液中のアルブミン濃度は低下しますので、むくみが現れることがあります。
いずれにしても「むくみがある」「浮腫がある」というのは、健康ではない証拠です。重篤な病気のサインかもしれませんから、もしむくみがあれば専門医を受診するようにしましょう。
※細胞と細胞の間にある液体のことを細胞間質液(あるいは単に間質液)といいます。
(高橋モータース@dcp)