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「痛み止めの常用は良くない」?鎮痛剤を使うときに注意すること

2018.04.03

「痛み止めの常用は良くない」?鎮痛剤を使うときに注意すること


生理痛や片頭痛の対策として、いわゆる「痛み止め」、鎮痛剤を服用する方は多いのではないでしょうか。すぐに痛みを抑えたいときには重宝しますよね。しかし、「痛み止めに頼りすぎるのは良くない」ともいわれます。これはなぜなのでしょうか?今回は鎮痛剤の仕組み、そして常用した場合に考えられることを解説します。

記事監修


石上和子氏


管理薬剤師。調剤薬局にて20年以上勤務し、健康検定協会の薬機(事)関連を担当。


▼健康検定協会

http://kenken-kyoukai.jp/

■鎮痛剤が「痛みに効く」のはなぜ?

市販薬でも鎮痛剤はたくさんありますが、含まれている解熱鎮痛のための成分は主に以下のようなものです。

  • イブプロフェン

    痛みや熱のもとになる「プロスタグランジン」の産生を抑制します。低用量のイブプロフェンの場合には副作用の胃腸障害が少なくて済むとされます。

  • ロキソプロフェン

    痛みや熱のもとになる「プロスタグランジン」の産生を抑制します。

  • アセトアミノフェン

    大脳皮質に働きかけ、プロスタグランジン、カンナビノイド系、セロトニン系の「痛みに関与する物質」に作用することで痛みを低下させる(と推測されています)。また解熱作用もあります。

  • アスピリン(アセチルサリチル酸)

    痛みや熱のもとになる「プロスタグランジン」の産生を抑制します。ただし胃障害が起きることがあります。

  • エテンザミド

    痛みや熱のもとになる「プロスタグランジン」の産生を抑制します。上記のアスピリンと比較すると、胃障害は少ないとされています。

  • イソプロピルアンチピリン

    痛みや熱のもとになる「プロスタグランジン」の産生を抑制する効果があります。より中枢に働き、解熱作用・鎮痛作用は強いとされています。※


※イソプロピルアンチピリンなどのピリン系薬品は、副作用としてピリン疹(薬物アレルギー反応)が起こる可能性がありますので注意が必要です(アスピリンはピリン系薬品ではありません)。

実際に市販されている鎮痛剤では、これら主成分だけということはありません。解熱鎮痛の主成分を複数組み合わせてあったり、副作用の胃障害が起こらないよう胃の粘膜を守る成分が配合されていたり、睡眠に誘導する成分が配合されていたり、と工夫が凝らされています。


どの薬を選ぶかは、主成分のみならず、ほかにどんな薬効成分が配合されているか、どんな効果があるのかなど説明をよく読み、薬剤師さんからもアドバイスをもらって決めるのが良いでしょう。その際には「副作用」のチェックも忘れないようにしてください。


たとえば、非常に鎮痛効果の高いロキソニンは、一方で消化器官への副作用があることがよく知られています。その副作用が現れる率は、第一三共株式会社のデータ(ロキソニン錠60mg添付文書)によれば、

総症例13,486例中副作用の報告されたものは409例(3.03%)

とのことです。


また副作用の内容としては、

・消化器症状(胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐(おうと)、食欲不振等)……2.25%

・浮腫・むくみ……0.59%

・発疹・蕁麻疹(じんましん)等……0.21%

・眠気……0.10%

となっています。

⇒データ引用元:『第一三共株式会社』「製品情報 ロキソニン錠60mg」添付文書

https://www.medicallibrary-dsc.info/di/loxonin_tablets_60mg/pdf/pi_lox4_1603_19.pdf

どんな薬にも副作用のリスクはあります。服用することの多い鎮痛剤だからこそ副作用には十分に注意しなければなりません。

■痛み止めを安易に飲むのは良くない?

皆さんがよく使うからかもしれませんが、鎮痛剤の服用についてはいろいろなことがいわれています。たとえば、


●鎮痛剤を安易に使うのは良くない。我慢できないぐらいの痛みになってから服用するのが良い


といったことです。しかし、これは間違っています。たとえば、痛みや熱のもとになる「プロスタグランジン」を抑制する成分が配合された鎮痛剤では、プロスタグランジンが大量に産生される前に服用し、封じ込めなければ効きません。


もう我慢できないという痛みになってからですと、抑制するのも大変なのです。ですから、痛みをすばやく和らげるという意味でも、痛みが出始めたら服用するのが良いのです。


このような鎮痛剤に対する誤解をほかにも見てみましょう。


●鎮痛剤を服用すると眠くなる

⇒眠くならない鎮痛剤も存在します。眠くなる・ならないは、その薬にどんな成分が配合されているかによります。たとえば催眠鎮静剤である「ブロムワレリル尿素」「アリルイソプロピルアセチル尿素」が配合されている鎮痛剤の場合には、服用すると眠くなりがちです(効能には個人差があります)。


●鎮痛剤に頼りすぎてはいけない

⇒これは服用の頻度の問題です。1カ月に10日程度を上限とする使用であれば(そして用法・用量を守っているのであれば)、問題はありません。


ただし、使用頻度が毎日服用といった度を超したものになると、だんだん鎮痛剤の効きが悪くなってくるという現象が起こります。体がその薬に慣れてくるのです。


ここで「効かなくなってきた」からと大量に飲んだり、飲む頻度を上げたりすると、まさに悪循環に陥ってしまいます。また、鎮痛剤の乱用によって「薬剤誘発性頭痛」が起こることがあります。


これは「薬物乱用頭痛」という名前でも知られています。「脳が痛みを感じる仕組み」がうまく働かなくなるため、かえって痛みに敏感になり、毎日頭痛を感じてしまうという疾患です。



痛みを抑えてくれる鎮痛剤はとても便利で、私たちの日常生活を助けてくれますが、痛みがあるときにさっと使うにとどめておきましょう。服用するのは1カ月に10日を上限とするのが良いようです。乱用して「薬剤誘発性頭痛」になったら本末転倒ですからね。



(高橋モータース@dcp)