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「一度治療したら終わり」じゃない!? 歯の詰め物・銀歯の寿命

2018.04.04

「一度治療したら終わり」じゃない!? 歯の詰め物・銀歯の寿命


虫歯治療の際、詰め物をしたり、銀歯をかぶせたりすることがあります。これでもうこの歯は大丈夫だろうと思ってしまいますが、詰め物も銀歯も永久には使えないことがあります。そのため、たとえ一度治療は完了しても、定期的な歯科検診が重要なのです。今回は「歯科治療の詰め物」「銀歯」について解説します。

記事監修


菊地由利佳 先生


歯科医師-健康検定協会- http://kenken-kyoukai.jp/

■「インレー」(歯の詰め物)の種類と寿命

型どりをして入れる部分的な歯の詰め物は正式名称を「インレー」といいます。インレーにはさまざまな素材が使われています。保険が適用されるものもあれば、されないものもあります。主なインレーは以下のようなものです。



●メタルインレー(金銀パラジウム合金)

主に奥歯の虫歯に使われている、銀色のインレーです。多くの場合、「金銀パラジウム合金」という金属が使われています。保険が適用されるため、治療費を安く抑えることができます。金属製なので、強度も十分です。欠点としては、審美性が低いこと、金属アレルギーを引き起こす可能性があることなどが挙げられます。

また、長期間使用するうちにさびて、金属が溶けだしてしまうこともあります。金属イオンによって歯や歯茎が黒ずんでしまうと、元通りにはなりません。


メタルインレーの寿命は5.4年といわれています。ただし、これは何らかのトラブルが起きた人の平均年数で、トラブルが発生していない人もいらっしゃいます。


●レジンインレー

歯科用の白いプラスチックを使ったインレーで、このプラスチックを「コンポジットレジン」といいます。銀のメタルインレーと比較して目立たず、審美性に優れています。レジンインレーも保険が適用される素材なので、治療費が安く済みます。


デメリットとしては、プラスチックのため耐久性ではメタルインレーに及ばず、割れやすいです。また、長期間使用しているとプラスチックが変色しやすいという問題もあります。


レジンインレーは、2-3年ほど使用するとプラスチックの劣化が始まります。何らかのトラブルが起きる平均年数は5.2年とされています。もちろん、トラブルが発生せずに使い続けている人もいらっしゃいます。


●セラミックインレー

セラミック(陶器)でできたインレーです。見た目は通常の歯とほとんど見分けが付かず、審美性が高いインレーです。レジンインレーと違い、ほとんど変色することもありません。また、金属を使っていないために、金属イオンによる歯茎の変色や金属アレルギーの心配も無用です。


セラミックインレーのデメリットは、保険適用外のために治療費が高額になること。陶器でできているので、メタルインレーと比べると割れやすいです。(レジンインレーよりは硬く、割れにくいです。)


セラミックインレーの寿命は10年ほどといわれています。ただしこれには個人差があります。


●ハイブリッドセラミックインレー

「ハイブリッドセラミックインレー」は、セラミックとレジンを混ぜた材料で作る白いインレーです。セラミックよりも軟らかいので、周囲の歯にダメージを与えるリスクが軽減されています。また、金属を使わないため、審美性にも優れ、金属アレルギーや金属イオンによる歯茎の変色も起こりません。


デメリットとしては、プラスチックを使用しているため、長く使っていると変色します。そして、治療に当たっては保険適用外になり、高額になります。


ハイブリッドセラミックインレーの寿命は5-10年ほどといわれています。


なお、レジンインレーとセラミックインレー、ハイブリッドセラミックインレーの3つの「白いインレー」は、割れてしまうことを防ぐためにインレーの厚さが必要です。そのため歯を削る量もやや多くなり、結果として歯そのものの寿命は短くなるといえます。


●ゴールドインレー

「ゴールドインレー」は、金合金や白金加金を使用したインレーです。白金加金とは、金にプラチナを加えた合金のことです。ゴールドインレーの大きなメリットのひとつは優れた耐久性で、寿命は20年ほどともいわれています。そのほかにも、強度が高い、適合性が高くなじみやすい、治療後に二次的な虫歯になりにくい、金属アレルギーも発症しにくいといったメリットがあります。


ゴールドインレーのデメリットは、保険適用外のため治療が高額になることと、金属を使っているために目立つことが挙げられます。

■「クラウン」(「差し歯」「かぶせ物」)の種類と寿命

「銀歯」のように自前の歯を削った後にかぶせる人工の歯を「クラウン」といいます。一般には「差し歯」や「かぶせ物」と呼ばれるものがこれに当たります。主なクラウンは以下のようなものです。



●硬質レジン前装冠

「硬質レジン前装冠」とは、内部を金銀パラジウム合金などで作り、外から見える部分にレジンを貼り付けたクラウンです。中身が金属なので強度があり、ほとんどの歯に使用できます。また、前歯と犬歯については保険が適用されますので(奥歯は適用外です)、安価で作れるというメリットもあります。


デメリットとしては、時間がたつと変色すること、金属イオンが溶けだして歯や歯茎の変色やアレルギーを起こす可能性があること、レジンを付けるのは前面のみなので裏側は金属が見えていることなどが挙げられます。


硬質レジン前装冠の平均使用年数は7.1年といわれています。ほかのケースと同様に、トラブルが発生していない人もいらっしゃいます。


●金属冠(保険適用の「銀歯」)

金属製のクラウンです。銀色のかぶせ物で、一般的に「銀歯」と呼ばれています。金銀パラジウム合金とニッケルクロム合金の2種類を使う場合は保険が適用されます。強度が高く、強い力が掛かる奥歯にも使用できます。


デメリットとしては、審美性が低いこと、金属アレルギー、歯や歯茎の変色を起こす恐れがあることが挙げられます。


金属冠の耐用年数は2-5年、平均使用年数は7.1年といわれています。


●オールセラミック冠

「オールセラミック冠」は、クラウン全体が白いセラミックでできています。審美性が高く、汚れが付きにくいのが特徴です。また、セラミック製なので金属アレルギー、歯や歯茎の変色の心配がありません。


オールセラミック冠のデメリットには以下のようなものがあります。


・割れることがある

・製作に当たり、元の歯を比較的多く削らなければならない

・保険が適用されず、治療が高額になる


オールセラミック冠は比較的新しい治療法で、平均使用年数や耐用年数ははっきりと分かっていませんが、一説によると寿命は10年といわれています。また、5年生存率(5年間、割れたりトラブルが発生しない確率)は95%といわれています。


●ハイブリッドセラミッククラウン

「ハイブリッドセラミッククラウン」は、セラミックとレジンを混ぜた材料で作られるクラウンです。オールセラミック冠に比べて軟らかく、周囲の歯にダメージを与えることが少なくなっています。そのほか、審美性にも優れ、金属イオンによる害が起きる心配もありません。


ハイブリッドセラミッククラウンのデメリットは以下のようなものです。


・時間がたつと変色する

・割れることがあり、かみ合わせの状態によっては使用できない

・保険が適用されず、治療が高額になる


ハイブリッドセラミッククラウンもオールセラミック冠と同じく、まだ歴史の浅い治療法ですが、寿命は5年といわれています。


●メタルボンド(メタルセラミッククラウン)

金属でできたフレームに、セラミックを焼き付けて作るクラウンです。フレームは金属製のために強度があり、表面はセラミックなので審美性が高いというメリットがあります。


デメリットとしては、保険が適用されないこと、金属アレルギー、歯や歯茎の変色が起きることがあります。しかし、中身の材質を貴金属に変更すれば、金属を使うことによるデメリットはなくなります。


寿命については諸説ありますが、7年ほどだと考えられています。


●ジルコニアセラミッククラウン

「ジルコニアセラミッククラウン」は、メタルボンドの内部に金属ではなくジルコニアを使ったクラウンです。ジルコニアは人工ダイヤモンドとしてアクセサリーにも使われていますが、実際はセラミックです。ジルコニアセラミッククラウンには、以下のようなメリットがあります。


・審美性が高い

・セラミックだが割れにくく、ほとんどの部位に使用できる

・金属を使わないため、金属アレルギーなどの心配がない


また、ジルコニアセラミッククラウンのデメリットは以下のようなものです。


・比較的多く歯を削らなくてはならない

・天然の歯よりも硬く、周囲の歯を傷つけることがある

・ジルコニアを覆っているセラミック部分が割れることがある

・保険適用外なので、高額になる


ジルコニアセラミッククラウンが日本で認可されて使われるようになったのは2006年のことで、寿命についてのデータは一般的には知られていません。


●ゴールドクラウン

「ゴールドクラウン」は金合金や白金加金などの貴金属を使用したクラウンです。金合金のクラウンは金色のいわゆる「金歯」になりますが、白金加金は銀色に近くなります。適合性、耐久性に優れているのが特徴で、二次的な虫歯にもなりにくいとされています。


デメリットとしては、金色で目立つこと、保険の適用外になり、値段が高くなることが挙げられます。


ゴールドクラウンの寿命については諸説ありますが、10年以上は使えるものと考えられます。「半永久的に持つ」あるいは「一生持つ」という考えもあるようです。



詰め物や銀歯を選ぶポイントは「治療費」「見た目」「安心して長く使えるか」の3つでしょう。しっかり検討して、後悔のないタイプを選ぶといいですね。きちんと管理していれば治療後何十年も保っている方もいらっしゃいますが、歯は「一度治療をしたら終わり」というわけではありません。寿命を迎えて歯がボロボロ……、なんてことにならないよう、定期的な検診・メンテナンスはお忘れなく!


(藤野晶@dcp)