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虫垂ってどこのこと?盲腸になったら取らなきゃだめなの?

2018.04.07

虫垂ってどこのこと?盲腸になったら取らなきゃだめなの?


盲腸(虫垂炎:ちゅうすいえん)になったら「切除しなくちゃいけない」とか「治療法は手術しかない」、「無駄な器官だから取っても大丈夫」なんて思っていませんか?医学の常識はどんどん上書きされていきますが、これについても同様です。虫垂は決して「無駄」ではないことが分かってきました。今回はこの「虫垂」についてです。

記事監修

古川真依子 先生


消化器内科医。2003年東京女子医科大学卒業後、東京女子医科大学病院附属青山病院消化器内科医療錬士として関連病院等に出向。2008年に帰局後助教として勤務。2013年より東京ミッドタウンクリニック勤務。女医+(じょいぷらす)所属。


▼東京ミッドタウンクリニック

http://www.tokyomidtown-mc.jp/

■虫垂ってどこのこと?

「盲腸」は、小腸が大腸に接続する部分で、「虫垂」とはその盲腸の先からぷくっと細く出た突起のような器官です。



本来、虫垂が炎症を起こす「虫垂炎」と、盲腸が炎症を起こす「盲腸炎」では部位が違います。しかし、昔は虫垂炎の発見が遅れがちでした。見つけたときは虫垂が壊死(えし)などして盲腸に張り付き、盲腸の疾患に見えることが多く、そのため「盲腸」「盲腸炎」と呼ばれたのです。


そしてかつては虫垂の役目がよく分からなかったため、「虫垂なんか取っちゃっても大丈夫」なんていわれたものですが、最近ではその考え方はいかがなものか?となっています。

■「虫垂」にも大事な機能がある

昔は虫垂の機能についてよく分からず「無用の長物」と考えられていたのですが、近年の研究で、

  • 虫垂のリンパ組織は大腸・小腸で働く「免疫グロブリンA(IgA)」の産生に関わっていること※

  • 虫垂は、腸内で働く善玉菌をストックしておく場所であること

  • 虫垂を取ってしまうと腸内細菌の生態系が崩れること

が分かってきました。

※データ出典:

『大阪大学』「無用の長物と考えられていた虫垂の免疫学的意義を解明~炎症性腸疾患の制御に繋がる新たな分子機構~」平成26年4月10日

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140410/index.html

虫垂炎を発症した場合は、「手術で切除する」か「薬で抑える」ことが基本的な治療となります。どちらの方法になるかは炎症の進行状態にもよりますが、かつてよりも手術は減少傾向にあるようです。


炎症が進行して虫垂が壊死して穴が開き、膿(うみ)や腸液が腹腔(ふくくう)内に流れ込むと「腹膜炎」を起こす恐れがあります。重症化した場合、死に至る可能性も。



虫垂炎は「治すことのできる病気」ですが、早期発見が求められます。炎症が小さいうちに早く見つけることができれば、虫垂も温存できる可能性が高まるのです。初期症状として、胃の痛みを感じることもあります。気になる症状があれば早めに病院を受診するようにしましょう。

参照:

急性虫垂炎手術の頻度は減少しているか─定期健康診断時の虫垂炎手術既往病歴の調査から─ 69巻05号1003頁

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/69/5/69_5_1003/_pdf

(高橋モータース@dcp)