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ラーメンはガツガツ、鼻毛はぶちっ。耳鼻咽喉科専門医が教える鼻水ケアの間違い集

2018.04.12

ラーメンはガツガツ、鼻毛はぶちっ。耳鼻咽喉科専門医が教える鼻水ケアの間違い集


風邪、花粉症、寒暖差が激しい日の仕事中やデート中、ラーメンを食べていて鼻水がたれてきたら……、鼻毛が見えたら……など、人と会うときには鼻のあれこれが気になるものです。思わぬところで恥ずかしい思いをしないように、これらを防ぐ方法はないものでしょうか。耳鼻咽喉科専門医でとおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長に、適切な鼻水のケア法について聞いてみました。

取材協力・監修



遠山祐司氏


耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。大阪市都島区医師会会長。医学博士。医療法人とおやま耳鼻咽喉科院長。

医療とおやま耳鼻咽喉科:大阪市都島区御幸町1-9-1


http://www.eonet.ne.jp/~tohyamajibika/

■鼻水は、ウイルスや花粉をせき止める重要なもの

――ところかまわずダラダラとたれる鼻水に悩まされていると、鼻水がうらめしくなります。なんとか止める方法はないものでしょうか。


遠山医師:いえ、鼻水には重要な役割があり、なくてはならないものです。鼻水は、鼻の奥にある鼻腔(びくう)の表面の鼻せん(びせん)という分泌器官でつくられる粘液と、粘膜からにじみ出る水分が合わさったものです。1日におよそ1リットルもつくられています。その半分は鼻を潤して蒸発し、半分は自然に飲み込んでいます。


鼻水には、空気中に含まれているホコリやチリ、また、たくさんのウイルスや細菌、花粉などアレルギーを引き起こす物質を体内に入れないように洗い流す役割があります。汚れをせき止めるシャワーのようなものと言えるでしょう。健康のためになくてはならないものです。

■ラーメンやうどんは上品にそっとすする

――なぜラーメンやうどんを食べているときに鼻水がたくさん出るのでしょうか。洗い流す必要はないように思いますが……。


遠山医師:温度が関係しています。鼻のもっとも重要な役割は「空気を体内に取り込むこと」です。このとき、できるだけ体温と同じくらいの温度にして肺に送るように調節するのも、鼻が持つ機能のひとつです。


ここで問題になるのが、ラーメンやうどんの湯気です。温かい麺類をすすりこむとき、鼻から急に熱い湯気が入ってくるでしょう。その熱い空気をそのまま肺に送り込まないよう、鼻水を出して吸った空気を冷やしているのです。


つまり、これも防御反応です。冬の寒い日に鼻水が出るのも同じ理由です。鼻から入ってきた冷たい空気に湿り気を与え、体温に近い温度にしようと、鼻は毛細血管を開いて血流を促します。すると、鼻水の分泌も促されます。これが冷たい気温の中で鼻水が出る仕組みです。


――では、ラーメンを食べているときに鼻水が出るのは放っておくしかないのでしょうか。


遠山医師:一度にたくさんの湯気を鼻から入れないようにすると、鼻水の量は減ります。麺類を一気にすすると、湯気が急速に鼻から入るので鼻水が大量に出ます。少なめの量をそっとすすると、鼻水の量も少なくすることができるでしょう。

■鼻毛は抜いてはいけない

――鼻に関する恥ずかしいことと言えば、いつの間にかのぞく鼻毛。どんなにおしゃれをしていても台無しです。外から見えかけたら抜けばよいのでしょうか。


遠山医師:いえ、抜いてはいけません。鼻毛は、鼻水と同様にヒトの体にとって必要不可欠な組織です。鼻水が異物を洗い流すシャワーだとしたら、鼻毛は異物が入り込まないようにするフィルターの役割を果たしています。


もし鼻毛がなければ、空気中のホコリやばい菌、ウイルスなどがどんどん体内に入ってきます。大気汚染がひどい場所に行くと鼻毛が伸びるのは、排気ガスなどの有害物質が鼻から侵入するのを防ぐためなのです。


ですから、外に見えるのは気になっても、抜くのはやめてください。鼻毛に限らず、髪の毛でも体毛でも毛を抜くと、抜いたあとの毛根から細菌が入りやすくなり、毛嚢炎(もうのうえん)を起こすこともあります。また、黄色ブドウ球菌に感染して赤いブツブツができて、ニキビのように膿(う)むこともあります。


鼻毛が気になるときは、出ている部分だけをそっとカットしましょう。その際にハサミを使うと鼻の内側の粘膜などを切ってけがをする危険性がありますから、できれば専用カッターを使うのがおすすめです。

■鼻をほじってはいけない

――さらにやっかいなのは、鼻にたまるカス。人の前でほじるわけにはいきません。


遠山医師:まず、鼻はほじらないでください。鼻くそは鼻から侵入したほこりやゴミが粘液と混ざりあって乾燥したもので、いわばばい菌の塊です。それを指でほじるのは、鼻を傷つける恐れがあること、また指にとっても不衛生です。ティッシュを使ってグリグリ掃除するのも同様です。


お風呂上がりの粘膜が潤っているときに、片方の鼻ずつティッシュでそっとかむと、鼻水とともに出てきます。取れない場合は、温かいおしぼりなどで鼻を少し温めてからかんでください。また、綿棒を使って、奥まで押し込まないようにしながらそっと掃除をするのもいいでしょう。

■鼻をかむときは片方ずつ優しくかむ

――鼻水のかみかたにもコツがあるのでしょうか。


遠山医師:一度に素早くスッキリさせたいからなのか、両方の鼻を同時に勢いよくかむ人がいますが、これは耳を傷める原因になります。ひどい場合は中耳炎を引き起こすことがあるので、やめてください。鼻をかむと耳がキーンとなりやすい人はとくに気をつけましょう。


鼻も耳も傷めないためには、片方ずつ、鼻水を前へ送るようにそっとかむようにします。また、下を向いてかむと鼻水が出やすくなります。

■くしゃみをすれば鼻が通る

――鼻の奥で鼻水がたまって苦しい……。くしゃみをすればそんな状態を解消してくれることがあります。くしゃみを促す方法はありますか。


遠山医師:くしゃみは、鼻から侵入した異物を発作的に排出しようとする生理現象です。風邪のウイルスや花粉などのほか、においやホコリに反応し、また、光による刺激でくしゃみが出ることもあります。


くしゃみは一瞬で全身の力を使うため、鼻の奥につまっていた鼻水が一気に排出され、鼻の中に空気の通り道ができて呼吸が楽になります。


鼻をかんでもたまっている鼻水がすべて出なかったり、鼻の奥がつまって息苦しかったりするときは、くしゃみをすることでスッキリさせることができます。くしゃみをする方法として、ティッシュをごく細くねじって鼻の中に入れる方法があります。鼻の中を直接刺激することでくしゃみが出ますが、やりすぎて粘膜を刺激しすぎるとかえって腫れて鼻づまりがひどくなることもあるため、注意しながら行ってください。ミントの飴をなめるとくしゃみが出ることもあります。


ラーメンを食べるときも、鼻をかむときも、鼻の掃除にも、「そっと」対処することが重要であるようです。焦ってなんとかしようとすると、トラブルにつながりやすいこともわかりました。これからは急がずにできるだけソフトな鼻のケアを心がけるようにしたいものです。


(取材・文 堀田康子 × ユンブル)