痛風は、昔から多くの人が悩まされている疾患のひとつです。やっかいなのは、基本的に「一度発症すると一生治療を続ける必要がある」こと。痛風になってしまったら、病気と上手に付き合っていかなくてはなりません。特に意識しなければいけないのが、食生活です。そこで今回は「痛風になってしまった場合の食生活の注意点」を解説します。
記事監修
松田明子 先生
内科認定医、透析専門医、腎臓専門医。
東京女子医科大学卒業。東京女子医大病院 腎臓内科、同 泌尿器科を経て、2017年よりサイエンスクリニック院長就任。
2020年よりBeauty Connection Ginza Clinic に就任。
患者様に寄り添ったカタチの美容医療の提供に努めている。
女医+(じょいぷらす)所属。
▼詳細プロフィール
そもそも「痛風発作」の原因は?
足の親指の付け根などに猛烈な痛みを感じさせる「痛風」は、医学的には「痛風発作」といわれ、急性の関節炎です。これは「高尿酸血症」から起こります。高尿酸血症とは、「慢性的に血液中の尿酸が多量(高濃度)になる」という病気です。
血液中の尿酸がある程度以上に増えると、尿酸が結晶化し(これを尿酸結晶と呼びます)、組織に付着します。尿酸結晶が組織から剥(は)がれるときに、血液中の白血球が異物として攻撃を仕掛け、炎症物質が放出されます。これが激痛を引き起こすのです。
「痛風発作」の6-7割は、足の親指の付け根で発生しますが、これは血管の屈曲部(親指の付け根もこれに当たります)に尿酸結晶が付着しやすいためです。
基本的に、高尿酸血症は男性に多い病気ですが、女性も安心してはいけません。特に閉経後、また血液検査で尿酸値が高い場合は注意しなければなりません。
「痛風」になったらどうしたらいい?
痛風発作が起きたら、まず速やかに専門医を受診します。激痛で歩けないことが多いでしょうから、タクシーを呼ぶなどして、できるだけ近くの医院に行きましょう。
まずはこの激痛を緩和しなければなりませんので、強めの鎮痛剤が処方されるでしょう。
また、
●尿酸合成阻害剤
『ザイロリック』(アロプリノール)などの、尿酸の合成を阻害するための薬。体内で尿酸が作られにくくにします。
●尿酸排泄促進剤
『ベンズブロマロン』などの、尿酸の排泄を促進する薬。尿酸を尿として排泄しやすくします。
も処方されるでしょう。これらを医師の指示どおりに服用することが第一です。
ただし、まず鎮痛剤を服用して痛みを取ることが先で、尿酸合成阻害剤、尿酸排泄促進剤は、痛風発作が治まるまで服用しないようにします。
痛風発作では、時間がたつと激痛がうそのように去ります。しかし、これは「高尿酸血症が治った」ということではありません。
血液中の尿酸値が高ければ、いつまた痛風発作を起こしてもおかしくないのです。高尿酸血症は「生活習慣病」でもあるため、日々の生活の中で尿酸値を低く保つようにしなければ治りません。
「痛風」になった場合の食生活って?
食生活においては以下のような点に注意しましょう。
●アルコールを控える
アルコールの摂取は高尿酸血症を引き起こす大きな要因です。
●プリン体を多く含む食物を控える
プリン体が体内で分解された後にできる、いわば燃えかすのようなものが尿酸です。尿酸が体内で作られないように、プリン体を多く含む「マグロ」「エビ」「タラコ」「白子」などを控えます。
●野菜を多く取る
●食事のメニューはバランス良くする
●乳製品を多く取る
乳製品には尿酸値を下げる効果があります。
食事のほか、「適度な運動を行うこと」も大事です。高尿酸血症は、心臓・腎臓・血管にダメージを与えます。痛風発作が起こっていないにしても、血液中の尿酸値が高い場合には、生活習慣病として治療に励まなければいけないのです。
(高橋モータース@dcp)