検索
「妊娠のしやすさ」もわかる?血液検査における「ホルモン系」の項目

2018.04.16

「妊娠のしやすさ」もわかる?血液検査における「ホルモン系」の項目


「ホルモンバランスが崩れて肌荒れした」とか「女性ホルモンが整わなくて生理不順……」といったお悩みを抱える方は少なくないのではないでしょうか。血液検査には、この「女性ホルモン」についてチェックする検査項目もあるのです。今回は血液検査における「ホルモン系」の項目について解説します。

記事監修


笹倉渉 先生


麻酔科標榜医、麻酔科認定医、麻酔科専門医、日本医師会認定産業医。『公立昭和病院』初期臨床研修医。『東京慈恵会医科大学附属病院』麻酔科・助教。『公益社団法人 北部地区医師会 北部地区医師会病院』麻酔科・科長を経て、現『MYメディカルクリニック』院長。


⇒『MYメディカルクリニック』公式サイト

http://mymc.jp/

■妊娠・出産にかかわる器官の健康をチェックできる

一般に女性ホルモンといえば、

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)

  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

のふたつですが、「ホルモン系検査」の項目には、「卵胞刺激ホルモン」「黄体形成ホルモン」「プロラクチン」「甲状腺刺激ホルモン」といったホルモンをチェックするものがあります。


これらを計測して総合的に判断すると、妊娠・出産にかかわる器官の健康をチェックできるからです。


たとえば、「卵胞刺激ホルモン」「黄体形成ホルモン」「エストロゲン」(正確にはエラストラジオール:E2と略されます)の3つを調べることで、卵巣が正常に機能しているかをチェックします。


「卵胞刺激ホルモン(FSHと略されます:後述)」と「黄体形成ホルモン(LHと略されます:後述)」の比を見ることで、卵巣障害があるか、といったことが推測できるのです。


これらのホルモン系検査は、妊孕性(にんようせい:「妊娠のしやすさ」という意味)の確認のためにも大事なものです。そのため、不妊治療においては基本的な検査として必ず行われるものとなっています。

■「ホルモン系」の検査項目

女性の皆さんが受けるホルモン系の検査項目は主に以下のようなものです。


※基準値は検体調査会社、医療機関などによって異なることがあります。



●卵胞刺激ホルモン(FSH)

【基準値】卵胞期3.5-12.5/排卵期4.7-21.5/黄体期1.7-7.7/閉経期25.8- mIU/ml

血液中の、脳下垂体前葉から分泌される「卵胞刺激ホルモン」の量を測定します。卵胞刺激ホルモンは、卵巣で卵胞が発育するように促す働きをします。性周期によって値は変動しますが、基準値を外れて高い値になる場合には「卵巣性無月経」「排卵障害」などが疑われます。基準値を外れて低い値になる場合には、「下垂体の機能低下」「排卵障害」などが疑われます。


●黄体形成ホルモン(LH)

【基準値】卵胞期:2.4-12.6/排卵期14.0-95.6/黄体期1.0-11.4/閉経期7.7-58.5mIU/ml

血液中の、脳下垂体前葉から分泌される「黄体形成ホルモン」の量を測定します。黄体形成ホルモンは、卵巣での卵胞成熟、また排卵を促す役割をします。また、排卵後の黄体を刺激するのも黄体形成ホルモンの仕事です。性周期によって値は変動しますが、基準値を外れて高い値になる場合には「卵巣性無月経」「排卵障害」などが疑われます。基準値を外れて低い値になる場合には、「下垂体の機能低下」「排卵障害」などが疑われます。


●プロラクチン(PRL)

【基準値】3.4-24.1ng/ml

血液中の、「乳腺刺激ホルモン」ともいわれる「プロラクチン」の量を計測します。プロラクチンは、乳腺の発達を促し、乳汁分泌に関与するホルモンです。妊娠時には基準値を外れて高い値になりますが、甲状腺の機能が低下している場合などでも値が高くなることがあります。基準値を外れて低い値になる場合には、「下垂体の機能低下」などが疑われます。

●甲状腺刺激ホルモン(TSH)

【基準値】0.54-4.54μIU/ml

「甲状腺刺激ホルモン」は甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンです。血液中の甲状腺刺激ホルモンの量を計測します。甲状腺ホルモンは新陳代謝を正常に保つための働きをしますので、その分泌を促すホルモンに異常があると基礎代謝に影響が出ます。


また、女性は甲状腺疾患が多いことで知られています。たとえば甲状腺の機能が異常に高まってしまう「バセドウ病」では、男女比「1:4」で圧倒的に女性患者の方が多いのです。


甲状腺機能の異常は不妊・流産の原因となることもあり、女性は男性よりも甲状腺について注意が必要です。この値が基準値を外れて高い場合には「橋本病」「甲状腺機能の低下」など、基準値を外れて低い場合には「バセドウ病」「甲状腺機能の亢進(こうしん)」などが疑われます。


●エストロゲン(エストラジオール:E2)

【基準値】卵胞期:25-195/排卵期66-411/黄体期40-261/閉経期10-40pg/ml

血液中の、「卵胞ホルモン」とも呼ばれる「エストロゲン」の量を測定します。エストロゲンは生殖器の発育を促し、子宮内膜を厚くするなどの役割を果たす重要なホルモンです。基準値は性周期によって変動します。妊娠時には基準値を外れて高い値になりますが、基準値を外れて異常に値が低い場合には「卵巣の機能不全」などが疑われます。


●プロゲステロン(P4)

【基準値】卵胞期:0.2-1.5/排卵期:0.8-3.0/黄体期:1.7-27.0/閉経期0.1-0.8ng/ml

血液中の、「黄体ホルモン」とも呼ばれる「プロゲステロン」の量を測定します。プロゲステロンは妊娠を維持するために不可欠なホルモンです。基準値は性周期によって変動します。妊娠時には基準値を外れて高い値になりますが、基準値を外れて異常に値が低い場合には「黄体の機能不全」などが疑われます。



女性ホルモンの生成・分泌は女性の体だけではなく、心にも大きな影響を及ぼします。不妊治療でなくても、一年に一度は近くの病院やクリニックで、これらホルモン系検査項目のある血液検査を受けてみてはいかがでしょうか?


(高橋モータース@dcp)