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出産一時金、出産手当金…。妊娠・出産に関する「給付金」の種類

2018.04.20

出産一時金、出産手当金…。妊娠・出産に関する「給付金」の種類


妊娠や出産、育児に関しては、なにかとお金がかかることが多いものです。日本政府や自治体などは、この負担を軽くするためにいろいろな給付金を用意しています。皆さんは「どんな給付がどこから受けられるのか」をご存じでしょうか? 今回は妊娠・出産に関して知っておくべき「給付金」についてです。

記事監修


吹田朝子(すいた・ともこ) 先生


『一般社団法人 円流塾』代表理事。CFPR(R)認定者(ファイナンシャルプランナー)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、健康ファイナンシャルプランナー(R)。

一橋大学卒業後、生保会社の企画調査・主計部門を経て1994年より独立。著書多数。


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■出産に関する給付の種類

妊娠・出産にかかる平均的な費用は、以下のように「ある程度まとまった額」になります。

  • 妊婦健診※1費用:約10-12万円

  • 出産費用:約50万円※2

  • 出産準備費用(マタニティーウエアやベビー用品など):約5-10万円

小計:約65-72万円

ただし、この72万円がなければ出産できないということではありません。以下のような給付がありますので、その差額を準備すれば大丈夫といえます。

●妊婦健診:約10万円

(詳細は地方自治体によって異なりますので要確認)


妊娠が分かったらすぐに地方自治体の窓口へ行き、妊娠の届け出を行います。母子手帳が交付されるとともに、妊婦健康診査の費用の助成を受けられる「受診券」(受診票)が渡されます(自治体によって異なります)。ただし、お金を受け取れるのではなく妊婦健診にかかる費用が一部助成されて割安になる仕組みですので、その点に注意してください。

●出産一時金(出産育児一時金):42万円

妊娠・出産は病気ではないので、健康保険は適用されませんが、妊娠・出産に関わるお金の負担を軽くするために、公的な医療保険(本人が加入している健康保険または夫が加入している健康保険)から「出産育児一時金」が給付されます。


赤ちゃんひとりにつき42万円で、たとえば多胎妊娠で双子を出産した場合には倍の84万円になります。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合または在胎週数22週未満の分娩の場合は「40.4万円」に減額されます。


また健康保険によっては「付加給付」があって、42万円プラスアルファが給付されることもあります(勤務先が加入している健康保険組合などを要確認)。


出産費用の全額をキャッシュでそろえなくても済むように、出産育児一時金を直接医療機関に支払える制度(直接支払制度)が一般的になっています。


医療機関に直接支払われるのが嫌な場合には、出産後に自分が加入している公的医療保険の保険者(健康保険組合・全国健康保険協会など)に申請することで給付を受けることも可能です(各保険者によって手続きに差異があります)。


また、本人が勤務先の健康保険の被保険者の場合、出産後に受け取れるお金として「出産手当金」があります。

●出産手当金

出産のために休業をする健康保険加入者に対して、公的医療保険から給付されるお金です。勤務先の健康保険に加入している女性であれば、正社員に限らず、契約社員、パートでも対象になります。


これは所得補償としての役割があり、「被保険者」の女性が、出産のために会社を休み、その間会社から給与の支払いを受けなかった場合、または給与の支払いを受けたが、出産手当金の額より少ない場合には、


出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、仕事を休んだ期間


を対象として、出産手当金、または出産手当金と給与の差額が給付されます。


出産手当金の額は、その人の給料の「約3分の2」です。正確に一日当たり幾らもらえるかは以下の式で計算します。


支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3 = 1日当たりの支給金額

⇒データ出典:

『全国健康保険協会』「出産で会社を休んだとき」

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148

出産手当金は、金額もまとまった額になるので、受給できるかどうかは大きな影響があります。なお、退職する場合でも次のふたつの条件を満たしていれば出産手当金を受給できるので、確認してみてください。


その条件は、

  • 健康保険の被保険者の資格喪失した日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間があること

  • 資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

です。


退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金が受け取れなくなるので、注意が必要です。

⇒データ出典:『全国健康保険協会』「よくある質問:出産手当金について」

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311#q7

さらに、出産後、働いているパパ・ママが育児休暇を取った場合、雇用保険から給付される「育児休業給付金」があります。

●育児休業給付

雇用保険の被保険者(男性・女性どちらでも可)が、1歳または1歳2カ月未満の子供を養育するために育児休業を取得した場合に支給されます※3。


支給額は、1カ月当たり(原則として)休業開始時の賃金日額 × 支給日数の67%(育児休業の開始から6カ月経過後は50%)相当額です。


夫婦で、出産後にどのように働いて子育てするかを考える際にも、ぜひ参考にしてください。

■特別な給付を行う会社・自治体もある

上記以外に、出産について特別な給付を行う会社・自治体もあります。会社で特に有名なのはソフトバンク株式会社です。勤続1年以上の場合、出産祝い金として以下のように支給しています※4。

第1子:5万円

第2子:10万円

第3子:100万円

第4子:300万円

第5子:500万円

(ただし、勤続1年未満は一律2万円支給)

ソフトバンクほどでないにせよ、ママ(そしてパパ)を支援するいろいろな制度を持つ会社があります。会社の福利厚生制度の規定を確認しておきましょう。


また、地方自治体の例では、たとえば北海道松前郡福島町では「出産祝い金交付金事業」として、

1人目:5万円

(うち町内商品券での支給が30%)

2人目:20万円

(うち町内商品券での支給が30%)

3人目:100万円

(うち町内商品券での支給が30%/3年の分割)

を給付しています(引き続き福島町に生活の基盤を置くことを誓約することが必要)※5。福島町ではそのほかにも平成28年4月1日から、受診した妊婦健診回数分と出産時、産後1カ月健診分の交通費(1回往復2,450円が限度)や、出産準備のため出産前にホテル等に宿泊した場合、連続して最大5泊分の宿泊費(1泊5,000円)を助成するなどの「福島町妊産婦安心出産支援事業」を行っています。


このような取り組みを行う自治体もありますので、妊娠を意識した段階で自分の住む地域の地方自治体からどのような支援が受けられるのかも確認しておくと良いでしょう。

※1

妊婦健診は「妊婦健康診査」という名前でも知られています。妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24~35週は2週間に1回、妊娠36週~出産までは週1回の目安で行われます。ですので、1回目が8週目とすると、通常は14回受診することになります。またこの健診には通常「妊婦超音波検査」「妊婦子宮頸がん検診」が含まれます。


※2

『国民健康保険中央会』の以下のデータによります。正確には平均値「50万5,759円」、中央値「49万3,400円」。

⇒データ出典:

『公益社団法人 国民健康保険中央会』「出産費用の全国平均値、中央値(様式1~4)」2017年6月20日

https://www.kokuho.or.jp/statistics/lib/h28nendo_syussan1-4.pdf


※3会社に勤務してあまり年月がたっていない場合など、受給資格があるか気になる場合は、以下の条件より、前に勤務していた会社での被保険者期間を通算して要件を満たせることもあります。事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に問い合わせるといいでしょう。


<<給付条件>>

休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月(過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある人については、その後のものに限る)が12カ月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。


その上で、


1.育児休業期間中の各1カ月ごとに、休業開始前の1カ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。


2.就業している日数が各支給単位期間(1カ月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であるとともに、休業日が1日以上あること)


というふたつの条件を満たすことで給付を受けられます。


⇒データ出典:

『ハローワークインターネットサービス』「雇用継続給付」「育児休業給付について」

https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html#g2


※4

正社員対象の出産祝金制度

⇒データ出典:『ソフトバンク株式会社』「仕事と育児の両立支援」

http://recruit.softbank.jp/graduate/company/childcare/


※5

北海道福島町

⇒データ出典:『福島町』「出産祝い金交付金事業」

http://www.town.fukushima.hokkaido.jp/hurusatoouen/iwaikin/default.html

(高橋モータース@dcp)