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医療費がかさんだときに受けられる「医療費控除」の仕組みとは?

2018.04.22

医療費がかさんだときに受けられる「医療費控除」の仕組みとは?


その年に病院や薬局などで多くの医療費を支払ったら、「医療費控除」を受けられることがあります。確定申告で控除を適用すると税金が安くなり、いくらかのお金が戻ってきますので、自営業者のみでなく、サラリーマンの方も確定申告をしたほうがいいのです。今回は「医療費控除」についてご紹介します。

記事監修


吹田朝子(すいた・ともこ) 先生


『一般社団法人 円流塾』代表理事。CFPR(R)認定者(ファイナンシャルプランナー)、1級ファイナンシャルプランニング技能士、健康ファイナンシャルプランナー(R)。

一橋大学卒業後、生保会社の企画調査・主計部門を経て1994年より独立。著書多数。


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■「医療費控除」とは何か?

医療費控除とは、自分・家族が支払った医療費(自己負担分)が年間(1月1日から12月31日まで)10万円を超えたら※、その超えた金額をその年の所得から引くことができ、その分税金が安くなるという制度です(控除できる額は上限200万円)。


※ただし年間所得金額が200万円未満の人は「所得金額 × 5%」です。


面倒くさい言い回しなので読むのも嫌になるでしょうが、国税庁では、

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

と説明しています。

⇒データ出典:

『国税庁』「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm

■医療費控除の金額の計算方法は?

控除される金額は、


医療費控除の金額 = 実際に支払った医療費の合計 - 保険金などで補填(ほてん)される金額 - 10万円(年間所得金額が200万円未満の人は「所得金額 × 5%」)


で計算します。「保険金などで補填される金額」というのは、生命保険などで支給される「入院費給付金」、公的医療保険による「高額療養費」「家族療養費」などのことです。


そのような保険による支給がない場合には、


実際に支払った医療費の合計 - 10万円 = 医療費控除の金額


になります。ですので、年間所得が200万円未満の人は医療費の支払いが「自分の所得×5%超」の場合、それ以外の人は「10万円超」の場合には、医療費控除を利用して確定申告するようにしましょう。

■医療費控除の特例「セルフメディケーション税制」

2017年1月1日から、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」という制度が設けられています。これはどんどん増加している医療費を少しでも抑えるために作られました。


医療機関・薬局において医療を受けるのではなく、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」のがセルフメディケーションです。


セルフメディケーションを行う人に税金を優遇し、そのような人を増やそうという試みなわけです。具体的には、


健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、2017年1月1日から2021年12月31日までの期間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係るスイッチOTC※1医薬品を購入してその合計金額が1年間に1万2,000円を超えたら、その超えた部分の金額※2が総所得金額から控除される


というものです。

※1

スイッチOTC医薬品とは、医療用から転用された、医療用と同等の成分を含む市販医薬品のことで、2017年9月27日時点で以下の有効成分が認定されています。たとえば、このリストの「八十二」の「ロキソプロフェン」は頭痛薬などに多用されています。『ロキソニンS』などはその例です。また、セルフメディケーションの対象となる医薬品には、パッケージにその旨の記載がされていることがあります。


⇒データ出典:

『厚生労働省』「スイッチOTC医薬品有効成分リスト」

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197171.pdf


※2

超えた部分の金額が8万8,000円を超えたら8万8,000円です。

たとえば、課税所得400万円の人が年間2万円の対象となる市販医薬品を薬局で購入した場合には、


2万円 - 1万2,000円 = 8,000円


ですから、「8,000円が課税所得から控除」されます。それによって所得に応じた税率から、

  • 所得税で1,600円の減税効果

    (8,000円 × 所得税率20% = 1,600円)

  • 個人住民税で800円の減税効果

    (8,000円 × 個人住民税率10% = 800円)

が得られます。


ただし、この特例措置は上記の通常の医療費控除と併せて受けることはできません。


また、控除の適用を受けるためには、自身が健康維持のために一定の取り組みを行っていることが条件になります。国税庁によれば、その取り組みとは以下のようなものです。

1.保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】

2.市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】

3.予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】

4.勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】

5.特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導

6.市町村が健康増進事業として実施するがん検診


⇒データ出典:

『国税庁』「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1129.htm

セルフメディケーション税制の適用を受けるには、「セルフメディケーション税制の明細書」に記入し、確定申告書に添付して提出します。



膨れ上がる日本の医療費を抑えるために、上記のような「特例」が設けられていますが、注意したいのは、従来の医療費控除との併用はできない点です。とはいえ、市販の医薬品でも十分だという人にとってはメリットがある制度です。


年間の家庭の医療費の出費が10万円を超えたら医療費控除を、そうでなくても医薬品を年に1万2,000円以上購入するという場合には、医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)を利用することを考えましょう。


(高橋モータース@dcp)