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誰でもなる可能性がある。「うつ」っていったいどんな病気?

2018.04.24

誰でもなる可能性がある。「うつ」っていったいどんな病気?


体の不調よりも、心の不調のほうが身にはこたえるのかもしれません。2008年に厚生労働省が行った調査によると、「うつ」(うつ病)にかかっている人は100万人以上とされています。「自分には関係ない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と身近な疾患のひとつなのです。今回は「うつ」について解説します。

記事監修



森若奈 先生


精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。

女医+(じょいぷらす)所属。

「うつ」とはどんな疾患でしょうか?

「うつ」「うつ病」にかかる人が増加しているといわれます。ただし、失恋、失敗などが原因で一時的に落ち込んだり、抑うつ的な気分になることは誰にでもあります。これを「うつ病」とはいいません。


「うつ病」は、一時的な落ち込みではなく、抑うつ気分が継続することがポイントです。


『ICD10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版』によると、軽症・中等症・重症を問わず、

患者は通常、


・抑うつ気分

・興味と喜びの喪失

・活動性の減退による易疲労感の増大や活動性の減少


上記の2つ以上が当てはまり悩まされる。わずかに頑張った後でも、ひどく疲労を感じることがふつうである

となっています。また、ほかの一般的な症状として以下のようなものが挙げられています。

(a)集中力と注意力の減退

(b)自己評価と自信の低下

(c)罪責感と無価値感

(d)将来に対する希望のない悲観的な見方

(e)自傷あるいは自殺の観念や行為

(f)睡眠障害

(g)食欲不振

⇒データ引用元:

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版』P.129



うつ病の診断は安易にすべきではない、と指摘する専門医もいらっしゃいますが、上記のような特徴があり、それが2週間以上続くと、多くの場合「うつ病」と診断されます。


うつ病は個人によって症状の差が大きいのですが、あり得ないことを考えてしまう妄想、また幻聴が現れることもあります。

ライフステージごとに発症しやすい「うつ」がある

人生の節目は気分に変調を来しやすく、それをきっかけに抑うつ的になってしまい、「うつ」を発症することがあります。それは、ライフステージごとに発症する以下のような「うつ」です。


●マタニティーうつ・産後うつ

出産前の妊娠中、また出産後は、生活がこれまでのものとは一変し、将来への不安、子育ての不安を感じて抑うつ的な気分になりがちです。この抑うつ状態が継続するとメンタル的な危機です。


●更年期うつ

閉経を挟んだ前後約10年を「更年期」といいますが、女性はこの時期ホルモンの分泌・バランスが大きく変化するため、気分が落ち込んだり抑うつ的な気分になりがちです。これが継続してしまうとうつ病に移行する可能性があります。


●老年期うつ/初老期うつ

ちょうど定年退職の年代に当たる60歳前後は、老年期の始まりです。仕事をリタイヤするので社会的な面、家庭的な面で人間関係に変化が生じ、落ち込んだり、抑うつ的な気分になりがちです。この心理状態が続くとうつ病になってしまう可能性があります。


「マタニティーうつ」「産後うつ」「更年期うつ」「老年期うつ」などは正式な病名、また精神疾患(mental disorder)の名称ではありません。しかし、ライフステージをよく反映した言葉なので一般によく使われます。



人生には気分の落ち込みやすい時期があるものですから、うつは誰でもなる可能性があるといえます。気分の落ち込みは意識して避けられるものではないかもしれませんが、特に女性は出産前後、そして更年期に注意する必要がありそうです。


(高橋モータース@dcp)