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「IQが高い = 天才」というわけではない!? IQテストでわかること

2018.04.27

「IQが高い = 天才」というわけではない!? IQテストでわかること


ドラマや漫画の世界には、しばしば「天才キャラ」が出てきます。こうしたキャラクターは「IQが高い」という設定があることが多いですね。さて、この「IQ」は実際どのように計算されているか、皆さんご存じでしょうか?今回は「IQ」について解説します。

記事監修



福田敬子 先生


精神科医。都内メンタルクリニック勤務。早稲田大学卒業、同大学院修士課程修了。カリフォルニア大学バークレー校留学、金融機関勤務ののち、山口大学医学部卒業。東京都立松沢病院、日本医科大学付属病院精神神経科などを経て、現職。

女医+(じょいぷらす)所属。

■「IQ」ってそもそも何?

IQテストを実際に受けてみた人もいらっしゃるでしょう。IQは知能指数(Intelligence Quotient)の略です。そのため数値が高ければ高いほど知的で優れている、というイメージを持ちますね。


また、たとえば「IQが140以上であれば天才、あるいは天才に近い」といった言葉が知られているため、天才を測るための指数といった捉え方をされているのではないでしょうか?


しかし、そもそも「知能」とは何なのでしょうか? これにはいろいろな定義があります。心理学者が100年近く議論していますがいまだに諸説あってまとまりません。


そんな中、エドウィン・ボーリングという心理学者が、

「知能とは知能テストが測ったものである」

という定義を提示します。


知能とはどんなものか定義はできない。だが、知能の一部と思われる機能を測ることはできる。その測れるものを「知能」と呼ぼうじゃないか、というわけです。

■「IQテスト」で何が分かるの?

世界初の「知能テスト」は1905年に生まれました。これが有名な「ビネ・シモン検査」です(心理学者のアルフレッド・ビネと学生のテオドール・シモンがふたりで作成したのでこの名があります)。


この検査は知的な課題を30問、易しい順番に並べたものでした。やがて改訂が加えられ、年齢別の検査になります(1908年)。これが画期的な点で、たとえば6歳児の75%が正解できた問題を6歳児用に、としたのです。


つまり、知的能力の発達具合を計測することができるようにしたわけです。このときに「精神年齢」という呼び方がされました。6歳だけれども「精神年齢は7歳」といった具合です。


その後、ビネ・シモン検査はアメリカ・スタンフォード大学のルイス・マディソン・ターマンという心理学学者によってアメリカに紹介されます。改訂作業はこの後も続けられ、「スタンフォード・ビネ検査」は現在でも知能テストのひとつとして知られています。


知能指数(IQ)という概念と以下の計算方法を開発したのは、ドイツの心理学者ウィリアム・シュテルンですが、実際に標準化された知能テストに導入したのはターマンです。


知能指数(IQ) = 精神年齢 ÷ 暦年齢(実年齢) ×100


式からも分かるとおり、知能テストによって精神年齢を計測し、暦年齢(実年齢)で割って100を掛け、「精神年齢が暦年齢の何パーセントか」を算出するわけです。


ただし、これではその人が全体のうちどのくらいの位置であるかが分かりません。そこで、統計の基礎である「正規分布」と標準偏差を導入し、現在では以下の式でIQを算出しています。


知能指数(IQ)= {(テストの得点 - その年齢で期待される平均得点) / 所定の年齢の標準偏差 } × 15 + 100


ちょっと難しい話になりますが、そのテストを多くの人に受けさせた場合、点数の分布が「正規分布」になると仮定します。また、全体の68%の人が標準偏差15内の収まるようになります(こうすると、それまでのIQの数値と類似の解釈ができる)。


というわけで、現在の知能テストの結果では、IQは「100±15」(85-115)の人が68%ということになります(もちろん実際のIQが正規分布しているのであれば、ですけれども)。


IQ(知能指数)の数値についてはどう考えればいいのでしょうか? 上記のとおり、このようなテストはあくまでも知能の一部と思われるものを計測しているにすぎないことを留意すべきです。


村上宣寛先生は著書『IQってホントは何なんだ?』(日経BP社,2007年8月13日初版発行)の中で、

(前略)知能テストでの高得点は、初歩的な常識問題を非常に素早く解く能力に恵まれていることを意味する。それ以上のことはよくわからない

と述べていらっしゃいます(同書P.13より引用)。


ですので、確かにそのテストで高得点を取ったことはすごいですが、ことさら自慢するようなものではないのです。「IQ140」などと聞くと無条件に尊敬してしまいそうですが、「ふーん」程度のリアクションで問題ないのかもしれません。

⇒データ引用元:

村上宣寛『IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実』日経BP社,2007年8月13日初版発行

(高橋モータース@dcp)